日本電気株式会社(本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田隆之、以下 NEC)と東北大学病院(所在地:宮城県仙台市、病院長:張替秀郎)は、共同で開発したAI Agentが、国立情報学研究所(以下 NII)が実施している直近の言語処理のベンチマークテストNTCIR-18(注1)のうち、医療分野の言語処理をテーマとしたRadNLP 2024(注2)において、第1位を獲得しました。RadNLP 2024では、肺がんの診断レポートから進行度(TNM分類による160通り、(注3))を判定するテストを行い、精度 81.48%と評価されました。
NIIでは自然言語処理技術の精度を評価する大規模なテストを 1999年から継続的に実施しています。参加団体の技術を客観的かつ正確に評価しているため、その評価結果は信頼されています。

近年、医療の質と効率の向上に向け、診断レポート等を含む電子カルテの利活用が期待されています。電子カルテの記載は、医療用語の表現の多様性、曖昧さ、専門性の高さ、などの理由から、これまで自動的な分析をすることが困難でした。
NECは、東北大学病院ベッドサイドソリューションプグラム アカデミック・サイエンス・ユニット(ASU)(注4)の枠組みを活用し、診断レポートとその解釈に関する医学的知見の提供を受けました。これらを基に、NECが強みとするAI Agentを医療向けに拡張し、自律的にタスクを分解し、妥当性の高い出力を生成することで、AIによる理解が困難であった医師の記載に対する頑健性を強化しました。さらに誤字脱字、略語、省略、医師間の表記ゆれがある記載にも対応することで、他機関の精度を大きく上回る結果を得ることができました。
日々の診療で蓄積される医療情報の利活用を可能とすることで、画像検査の読影支援をはじめ、看護必要度等のアセスメント作業の支援、医師所見等の臨床研究への活用など様々な応用を想定しています。
NECは今後、今回開発したAI Agentを国内初の生成 AI を搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS(注5)」や生成 AI を活用した医療文書作成支援サービス「MegaOak AI メディカルアシスト(注6)」、NECが強みをもつ最先端AI技術と組み合わせることで、デジタルによる医療業務の効率化や質の向上など医療DX実現への貢献に取り組みます。
また、創薬の効率化(製薬DX)への展開によるドラッグロス課題などの解決を目指します。
注1.NTCIR(エンティサイル、NII Testbeds and Community for Information access Research)
注2.Natural Language Processing for Radiology
注3.肺がんの進行度は、T(原発腫瘍:10段階)、N(所属リンパ節:4段階)、M(遠隔転
移:4段階)を掛け合わせた合計が160分類となる
特定非営利活動法人 日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン」
注4.アカデミック・サイエンス・ユニット(Academic Science Unit:ASU)
企業の研究者等が医療現場に入り、現場観察を通じて医療従事者とともに解決すべき課題を探索するプログラム。2014年より開始。
共創による医療課題の解決
注5.NEC、生成AIを搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS」の販売を開始
注6.医療文書作成支援AIサービス「MegaOak AI メディカルアシスト」
問い合わせ先
東北大学病院広報室
TEL:022-717-8032
E-Mail:press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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