
「臨床研究お役立ちサイト」オープン
研究者を伴走支援し、研究開発の活性化を
臨床研究パ ートナー部門 助手|菅原智子
2025.5.2 Fri
2024年4月に新設された臨床研究パートナー部門。そこで活躍する菅原智子さんは、臨床工学技士を目指して大学に入学、大学院卒業後は大学病院で臨床業務に加え研究も行いました。7年間、臨床工学技士として勤務した後、第一子の出産を機に地元仙台へ。医療機器・医薬品等の研究開発に携わりたいとの思いから、CRIETOに入職しました。現在は臨床研究パートナー部門に所属し、「パートナー制度」や「よろず相談」など、新たな取り組みで研究環境の整備に貢献しています。プライベートでは二児の母。「日々、ぎりぎりで仕事と育児をこなしている」と語る菅原さんの息抜きは、子どもたちと一緒に過ごすこと。仕事に家庭に大忙しの菅原さんにお話をうかがいました。
CRIETOに入職した経緯を教えてください。
高校生の頃、祖母が病気になって入院や自宅介護を繰り返しているのを見る中で、医療の仕事に興味を持つようになりました。さまざまな医療系の職種がある中で、医療機器の操作や保守点検を行う臨床工学技士という職種を知りました。もともと私は時計などの分解や工作が好きだったので、医療と工学を組み合わせた臨床工学技士を目指し、その国家試験の受験資格が得られる大学への進学を決めました。研究も行いたかったため大学院へ進学し、卒業後は都内の大学病院の臨床工学部に入職しました。当時は医療機器を使う側の立場だったので、今CRIETOで担っている役割とは異なりますが、臨床での経験は、現在の業務に役立っていると感じます。
第一子の出産を機に、出身地である仙台市に戻りました。医療職での復職を検討していたところ、医薬品・医療機器等の研究開発に携われるCRIETOの存在を知り、門をたたきました。現在は臨床研究パートナー部門に所属していますが、当部門は2024年4月に新設されたばかりです。以前は開発推進部門に所属し、非臨床フェーズも含めた、医療機器・医薬品等の開発を支援する仕事をしていました。開発推進部門は、開発のアイデア段階から、薬事承認取得等の最終目標を達成するための支援を行う部門ですが、そこから臨床研究や治験のフェーズに特化した専門的な支援を行うために、臨床研究パートナー部門が独立した形です。

どのような業務に携わっていますか。
スタディマネージャーとして医薬品医療機器等の実用化を目指す医師主導治験の支援と、臨床研究パートナーとして、臨床研究者を支援する「臨床研究パートナー制度」の運営に携わっています。臨床研究パートナーとしての仕事は、臨床研究を行いたい、または行っている研究者を対象に、経験豊富な医師や私たちスタッフ、臨床試験データセンターの統計家や臨床研究監理センターの担当者などがチームを組み、研究の立ち上げから実施までの研究相談や支援を行います。具体的には、研究コンセプトの相談から体制構築、倫理委員会申請の準備に関する相談、そして実際の手続き支援まで、一連の流れをサポートしています。それと並行して、臨床研究の段階を問わず、あらゆる相談を受ける「よろず相談」も担当しています。
2024年12月に公開した「臨床研究お役立ちサイト」の構築にも携わりました。2023年に東北大学の臨床研究活性化に向けたタスクフォースが設置され、研究しやすい環境づくりの取り組みについて検討しました。その一環として、これまで散在していた臨床研究に関する情報を集約し、研究者フレンドリーなポータルサイトを作ることで、臨床研究しやすい環境を整備することを目指しました。
情報を整理する中で、当院の臨床研究に関する情報は研究者にとってアクセスしづらい状況であったことを痛感しました。忙しい臨床業務等の合間に研究を進める研究者にとって、情報を探す手間は負担のひとつになります。この「臨床研究お役立ちサイト」が、研究者の負担を少しでも軽減し、研究に集中できる環境づくりに貢献できればと思っています。
CRIETOでの仕事にやりがいを感じるのはどのような時ですか。また、プライベートの過ごし方は?
治験が無事終了した時は、やりがいを感じます。研究者から感謝の言葉をいただいた時もうれしいですね。ただ、医療機器や新薬の開発は、実用化まで10年、20年という長い時間がかかります。私は入職8年目で、私が携わったシーズで実用化に至った案件はないのですが、自分が担当したシーズの医療機器や新薬が患者さんのもとに届いた時に、初めて本当の意味での達成感が得られるのかなと思います。
プライベートでは、旅行や読書をして過ごすのが好きです。今は、子どもたちと過ごす時間が一番の息抜きになっています。長男がサッカーをしているので、週末は練習や試合に付き添う事が多いです。一緒にサッカー観戦に行くこともあり、親子でスポーツを楽しんでいます。下の子はバスケットボールに興味を持っているようで、これからまた楽しい苦労が待っていそうです(笑)。二人の子どもを育てながらの仕事は大変ですが、CRIETOの柔軟な働き方が大きな助けになっています。上司や同僚の理解があり、テレワークの体制も整ってきたので、子どもの学校行事や急な病気などにも対応できています。とても働きやすい環境で、ありがたく感じています。
今後の展望をお聞かせください。
多くの研究者が臨床研究や治験を行い、新しい治療法や医薬品・医療機器等が開発されることで、救われる患者さんたちが増えます。臨床研究を取り巻く環境は決して簡単ではありませんが、お役立ちサイトやよろず相談、パートナー制度などを通して、少しでも研究しやすい環境づくりに貢献していきたいと思います。そして、私自身が研究者の皆様に信頼される支援者になれるように、これからもCRIETOの業務に力を尽くしていきたいです。



菅原 智子(すがわら ともこ)
仙台市出身。2010年桐蔭横浜大学大学院工学研究科医用工学専攻修士課程修了。2010年東京女子医科大学病院臨床工学部入職。2017年よりCRIETO開発推進部門に入職し、医療機器・医薬品等の開発に従事したのち、2024年4月より現職。