
東北大学病院バックヤードツアー 開催レポート
大学病院の“裏側”へようこそ
東北大学病院バックヤードツアー 開催レポート
大学病院の“裏側”へようこそ
2025.12.19 Fri
暑さが少しやわらいだ9月末。東北大学病院のバックヤードツアーが開かれました。
「大学病院」と聞くと、どこか敷居が高くて、自分たちとは縁遠い場所のように思えるかもしれません。けれども、そんな大学病院もまた、人々の暮らしとつながる大切な一部。地域の方々にその役割を知っていただき、未来を担う子どもたちが医療をもっと身近に感じられるように ―そんな願いを込めて、年に一度、ツアーは開かれています。
今回、わずか30人の定員に対して、700人を超える小中高校生から応募がありました。普段は立ち入ることのできない病院の裏側を体験できる一日に、期待の大きさが伝わってきます。
青空の下、命をつなぐ場所へ
少し足がすくむような階段をのぼりきると、一気に広がる仙台の街。「高い!」と思わず声が出る子どもたち。ここは、日本で最も高い場所にあるヘリポートです。陽ざしを浴びて輝くドクターヘリが、すぐ目の前に停まっています。乗り込んで座席に腰掛け、装備された医療機器を間近に眺めました。「救急車とどう違うのですか?」「一日何回くらい出動するのですか?」次々に飛び出す問いかけは、命を運ぶ場面を想像するからこそ。自分たちの生活のすぐそばにある非日常を、子どもたちは確かに感じ取っていました。


やさしい手術室
次は、白く明るい光に照らされた器具が並ぶ手術室。手術用の本物のガウンを着て入室。入った瞬間、空気がすこし張りつめ、子どもたちの表情もこわばります。けれど、説明する看護師さんの声はやわらかく、ベッドはほんのり温かい。「患者さんが安心できるように、寒くないように、怖くないように」。外科医だけでなく、さまざまな医療スタッフがチームを組み、患者さんのそばに寄り添っていることを学びました。穏やかで、でもてきぱきとした看護師さんの姿は、大学病院そのものの姿を映していました。


身近で新しい歯科医療
建物を移り、次は先端歯科医療センターへ。ずらりと並ぶ診療ブースは、どこか見慣れた歯医者さんに似ています。その奥の、廊下の先にある歯科技工室には、歯型や歯を形作る道具が所せましと並んでいます。ここで子どもたちは、石膏での歯型づくり体験に挑戦。固まるのを待つ間には、最新鋭の顕微鏡を操作したり、3Dで歯の形を映し出す技術に触れます。身近な“歯の健康”が最先端の研究と技術に支えられていることを、自分の手で確かめる機会となりました。


初めて知る薬のこと
最後は薬剤部へ。壁一面に整然と並ぶ薬に、子どもたちの目が輝きます。「薬剤師になりたい」と話していた子は、ますます真剣なまなざしに。小学生はチョコレートを薬に見立てて分包機で袋に分ける体験へ。機械にセットすると、数個ずつ正確に袋に収まっていく様子を楽しそうに見つめます。高校生は、お茶とうがい薬の飲み合わせについて実験を通して学びました。


ツアーに参加した子どもたちからはこんな声が寄せられました。
「スタッフさんやお医者さんたちがやさしかったし、質問にも答えてくれた」「普段見ることができないものや触ることができないものに触れることができた」「楽しかった!」
中には、「放射線のことを知りたいです」「医療者になるにはどういう勉強をしたら良いですか?」「もっとヘリポートを見たかった」と言った質問や要望も…。
ひとつひとつの言葉が、大学病院と社会をつなぎます。医療をぐっと身近に感じ、未来の自分の姿を心に描く、そんな一日になったことと思います。
Text 溝部鈴