秋冬、睡眠の不調はありませんか?
小川浩正(東北大学病院 睡眠医療センター センター長)
2026.1.23 Fri
体内時計のずれが影響
日照時間が減少
秋になり「夜になっても眠れない」「朝起きられない」「夕方に眠くなる」「朝早く起きてしまう」などと感じていませんか。
秋から冬は、日照時間が短くなり、体内時計のずれによる睡眠・覚醒の不調「概日リズム睡眠・覚醒障害」が表面化しやすい季節です。朝が遅く、夕方は早く暗くなり、朝晩の冷え込みが強まって睡眠に影響を与えます。
光は体内時計に影響する最も重要なシグナルです。日照時間が短くなると、暗い時間が長くなり、朝の光の「体内時計を前に進める合図」を弱めます。夜の人工光は「体内時計を遅らせる合図」を強め、夜に眠気を促すホルモン「メラトニン」が出るタイミングを乱します。
若年層では秋から冬、就寝がどんどん遅くなる「睡眠相後退型」が増えます。
中高年から高齢では「睡眠相前進型」が増えます。加齢に伴いメラトニンの分泌量が減り、分泌の始まりと終わりが早まる傾向が強まって、夕方から強い眠気を感じやすく、起床は早まりがちになります。日没時間が早まる秋冬は、分泌がさらに前倒しになりやすく、早く眠くなる傾向に拍車がかかります。
次のような傾向があれば、体内時計がずれているサインかもしれません。(1)入眠・起床が本人の望みより1、2時間以上ずれる(2)夜更かしになる、朝起きられなくなる(3)夕方に眠くなる、未明に目が覚めてしまう-。(2)は後退型、(3)は前進型です。
規則的な生活を
これらが続く場合は、生活リズムを見直しましょう。起床・食事・運動の時刻を毎日そろえる、休日の寝坊は最大でも平日の睡眠時間プラス2時間にする、などが基本です。
後退型は、起床後30分以内に屋外で15~30分散歩したり、就寝の2~3時間前から照明を暗めにしたりします。前進型は、午後6~9時は室内を明るめにし、可能なら軽く散歩します。早朝の起き抜けではなく、望ましい起床時刻に光を浴びるようにし、夕食や入浴、軽い運動の時刻を30~60分遅らせるといった対策を取ります。
こうした工夫でも改善しない場合は、睡眠専門医に相談しましょう。体内時計のずれを測定し、光の浴び方や生活リズムの整え方について、専門的な助言を受けることができます。
河北新報掲載:2025年11月14日
小川 浩正
(おがわ ひろまさ)
茨城県出身。東北大学大学院博士課程修了。東北大学保健管理センター、感染症呼吸器内科准教授、産業医分野准教授などを経て、2020年より東北大学病院睡眠医療センターセンター長、2022年東北大学環境・安全推進センター産業医分野教授に就任。