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嚥下障害と口腔機能の関連を明らかに -舌圧の低下が咽頭残留のリスクに-

発表のポイント
  • 東北大学病院嚥下治療センターの患者を対象に、口腔機能と咽頭機能との関連を評価した結果、口腔乾燥、オーラルディアドコキネシス1、舌圧2などの口腔機能の低下と嚥下障害が関連することを明らかにしました。
  • 舌圧の低値が咽頭残留3と関連があることを示し、嚥下障害疑いの早期発見、舌の訓練や口腔内装置による早期介入が嚥下障害の予防として有効である可能性を示しました。
  • 本研究より、誤嚥性肺炎の予防や安全な経口摂取を支えるために、正常な口腔機能の維持や機能低下の向上が重要であると考えられ、医科歯科連携の重要性が示唆されました。
概要

栄養摂取に欠かせない摂食嚥下は、消化器官である口腔や咽頭の協調運動が重要であると考えられていますが、口腔や咽頭の機能低下がどのように関連するかはあまり報告されていません。
東北大学病院嚥下治療センターでは良好な医科歯科連携から、口腔機能と咽頭機能が同時期に検査され、患者の詳細な摂食嚥下機能を評価しています。
東北大学病院咬合修復科の互野亮助教、同院咬合回復科の白石成講師、同院顎顔面口腔再建治療部の小山重人准教授らの研究グループは、東北大学病院嚥下治療センターを受診した患者183名を対象に、口腔機能と咽頭機能の検査結果を用いた横断研究を行い、これらの関連性を評価しました。その結果、口腔乾燥、オーラルディアドコキネシス、舌圧などの口腔機能の低下が嚥下障害などの咽頭期障害に関連することを明らかにしました。特に、舌圧の低下は、咽頭残留のリスクを高める可能性が示唆されました。この結果より、誤嚥性肺炎の予防や安全な経口摂取を支えるために、正常な口腔機能の維持や機能低下の向上が重要であると考えられました(図1)。
本研究成果は、2026年3月8日にJournal of Oral Rehabilitationに掲載されました。

詳細な説明

研究の背景
近年、オーラルフレイルや口腔機能低下症が注目されており、口腔機能の指標が多くの全身疾患と関連することが報告されています。正常な摂食嚥下には口腔と咽頭の協調運動が重要であると考えられていますが、口腔や咽頭の機能低下がどのように関連するかはあまり報告されていません。

今回の取り組み
東北大学病院咬合修復科の互野亮(たがいの りょう)助教、同院咬合回復科の白石成(しらいし なる)講師、同院顎顔面口腔再建治療部の小山重人(こやま しげと)准教授らの研究グループは、東北大学病院嚥下治療センターを受診した患者183名を対象に、口腔機能と嚥下機能を同時期に評価することでこれらの関連性を明らかにし、経口からの栄養摂取に欠かすことのできない口腔機能の重要性を検討しました。口腔機能として、口腔衛生状態、口腔乾燥、舌口唇運動機能(オーラルディアドコキネシス)、舌圧、咀嚼能力などを評価しました。また、咽頭機能としては、嚥下に関する質問票、嚥下内視鏡による評価、改訂水飲み検査(MWST)、反復唾液嚥下テスト(RSST)などを用いて評価しました。
その結果、対象患者の約60%に頭頸部腫瘍、変性疾患および神経筋疾患を認め、今回の集団では、他の報告と比較して、口腔機能低下症の有病率が高いことを明らかにしました。また、41.5%の患者は舌運動が不十分であり、口腔機能低下症やオーラルディアドコキネシス、舌圧低値と嚥下内視鏡検査による咽頭機能との間に相関関係を認めました(図2)。

今後の展開
本研究では、口腔機能と咽頭機能の関連性を明らかにしました。これらの機能の低下は、経口からの栄養摂取に影響を与えると推測されますが、今回の横断研究では栄養状態との関連性については評価されていませんでした。
今後は、機能評価時点での栄養状態を評価項目に追加し、口腔・咽頭機能と栄養状態の関連性を明らかにし、東北大学病院の医科歯科連携をより発展させ、咽頭機能の低下に対して効果のあるリハビリテーションの提供、安全な経口摂取を維持することを目指します。

図1.急性期病院、医科歯科連携における口腔機能と咽頭機能の関連性
図2.口腔機能(オーラルディアドコキネシスと舌圧)と嚥下機能との相関関係
オーラルディアドコキネシス(/pa/, /ta/, /ka/)と舌圧,嚥下内視鏡検査(兵藤・駒ヶ根スコア)において,有意な相関関係を認めた。*p<0.05,**p <0.001
謝辞

本研究は、JSPS科研費(JP24K19935、JP23K092911、JP23K09291)の助成を受けて実施しました。

用語説明
  1. オーラルディアドコキネシス:舌や口唇の巧緻性と速度を評価する方法。簡易に測定が可能。 ↩︎
  2. 舌圧:舌が口腔内で上顎を押し付ける力。 ↩︎
  3. 咽頭残留:嚥下した食物がのどに残留すること。誤嚥のリスクが高まる。 ↩︎
論文情報

タイトル:Association Between Oral and Pharyngeal Functions in Patients in Medical-Dental Cooperation at an Acute Hospital
著者:Ryo Tagaino, Kana Saijo, Naru Shiraishi, Takamasa Komiyama, Kuniyuki Izumita, Takuma Hisaoka, Ai Hirano, Jun Ota, Yukio Katori, Toru Ogawa, Keiichi Sasaki, Nobuhiro Yoda, Hiroshi Egusa, Shigeto Koyama
*責任著者:東北大学病院 咬合回復科 講師 白石成
掲載誌:Journal of Oral Rehabilitation
DOI:10.1111/joor.70176
URL: https://doi.org/10.1111/joor.70176

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院 咬合回復科
講師 白石 成(しらいし なる)
Email: naru.shiraishi.c1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学病院広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

関連資料
プレスリリース(PDF)
関連リンク
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