日々の食事
環ROY
2025.5.7 Wed
私には二人の子供がいる。上は小学生で甘党、ジュースをいくらでも飲みたがる一方、クセの強い味に弱い。下は幼稚園児で甘いものへの執着はそれほどなく、キムチやケールを好む点で上とは対照的だ。それぞれに茄子やレタスなど食べたくないものがあり、それらは後回しなった末、食べるか残すかの議論となる。
親としては、好き嫌いなく満遍なく食べてほしい。そのため、「健康にはバランスが重要」と説得を試みるが、バランス感覚などというものは、ある程度の人生経験が必要な抽象的概念である。そのため、子供たちにはピンとこない。
そこで、動物には草食、肉食、雑食の分類があり、人間は雑食だと説明する。雑食動物は多様な食材から少しずつ栄養を摂取する必要があり、人間も多様なものを食べることで成長が安定し、病気を予防できると説明する。さらに、「病気にかかりやすいとどうなる?」と子供たちに考えてもらい、「死にやすくなる」と理解を共有する。そして、「死とは何か?」と尋ね、私たち家族が二度と会えなくなると説明し、「死にづらい身体を作るために、好きでないものも食べよう」と納得を促す。極論かもしれないが、言葉を尽くすとこうなる。
子供の頃、「健康のためにバランスよく食べなさい」と言われても、実感が湧かなかった。しかし、今は子供たちを通して、掘り下げて言語化することで、自分自身の理解も深まった。幸い、二人とも、嫌いな食材でも少しは食べるよう都度挑戦してくれる。好き嫌いのない大人になることを願うばかりだ。

環 ROY
1981年、仙台市泉区生まれ。ラッパー。これまでに6枚の音楽アルバムを発表。
※東北大学病院広報誌「hesso」48号(2025年2月28日発行)より転載
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- 東北大学病院広報誌「hesso(へっそ)」