血液のがん・リンパ腫
福原規子(東北大学病院 血液内科 科長)
2025.10.10 Fri
病型把握し治療法選択
しこりが肥大化
リンパ腫とは、血液のがんの一種で、体内の免疫機能を担うリンパ球ががん化する病気です。リンパ節や脾臓(ひぞう)、骨髄など、全身のさまざまな部位に発生する可能性があり、進行が週単位と早い高悪性度リンパ腫、月単位で進行する中悪性度リンパ腫、年単位でゆっくり進行する低悪性度リンパ腫に大別されます。
初期症状は風邪や疲労と見分けがつきにくく、見過ごされがちです。代表的な症状として、首や脇の下、足の付け根などにリンパ節の腫れによるしこりが出て、それが痛みなく徐々に大きくなることがあります。
特に(1)複数の部位のリンパ節が同時に腫れている(2)徐々に大きくなりながら数週間以上続いている-など気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見過ぎず、まずはかかりつけ医に相談しましょう。最近はCTやPET検査など画像診断の進歩により、検診や他の病気で経過を見ているうちに偶然見つかることも多くなってきました。
リンパ腫の診療で最も大事なことは、正しい診断を得ることです。腫瘍の一部の生検により、病理学的にリンパ腫であることを確認し、どの病型に当てはまるかを確定します。
病型が分かれば、患者にとって最も適した治療を選択できます。しかし、リンパ腫の病型は現在100種類以上あり、診断に苦慮して何回も生検が必要になることもあります。
早めの受診大切
治療の選択肢は年々広がり、がん細胞そのものを攻撃する抗がん剤や放射線治療、がんの増殖に関連する分子を狙い撃ちしてがんを抑える分子標的薬、がん免疫の主役であるT細胞の攻撃力を高める二重特異性抗体製剤やCAR-T(カーティー)療法などがあります。
適切な治療によって完治や長期の病状安定などが期待できますが、一方で、治療に伴う副作用は肉体的にも精神的にも、患者さんにとって大きな負担となります。適切な治療を継続して行うためには、担当の医師とよく相談しながら、副作用を上手にコントロールしていくことが大切です。
リンパ腫は決して珍しい病気ではありません。身近な方がかかることもあります。知識を持ち、「いつもと違う」サインを見逃さず、早めの行動を心がけることが、ご自身や家族の健康を守る第一歩です。
河北新報掲載:2025年7月25日
福原 規子
(ふくはら のりこ)
静岡県出身。1999年東北大学医学部卒業。2024年より東北大学医学系研究科血液内科学分野准教授、東北大学病院血液内科科長に就任。