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合併症引き起こす2型糖尿病

今井淳太(東北大学病院 糖尿病代謝・内分泌内科 科長)

薬が進歩 良好状態保つ

 糖尿病は、血糖値を下げる物質であるインスリンが働かなくなり、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇する病気です。血糖値が高い状態を放置すると全身の血管が傷つき、心臓、脳、腎臓、目など多くの臓器がダメージを受けて合併症を引き起こします。

 糖尿病には主に1型と2型がありますが、今回は2型糖尿病について説明します。2型糖尿病はインスリンの利き方が悪くなる、または、インスリンの出方が悪くなる、あるいはこれらが両方起こることで、結果としてインスリンが働かなくなり発症します。

 2型糖尿病は生活習慣病と言われていますが、これが「2型糖尿病は生活習慣が乱れた人や自己管理ができない人に起こる」という偏見につながっています。

体質、加齢が影響

 確かに生活習慣の乱れは要因の一つにはなり得ますが、2型糖尿病は体質と加齢による影響がかなり大きい病気です。仮に理想的な生活習慣を維持していても、これらの要因で発症することは十分に考えられます。

 特に日本人は、欧米人と比較してインスリンを出しにくい体質を持っていることが知られています。また、インスリンの作用は年齢とともに低下します。つまり、2型糖尿病は生活習慣の乱れのみで起こるわけではなく、本人の努力だけでは良い状態を保つことが難しい場合が多い病気なのです。

 従って、医療サポートが必要となります。治療の基本となる食事療法は、以前は厳しいカロリー制限が行われていましたが、現在は患者さんが、より継続しやすい緩やかなカロリー制限が推奨されています。

 薬物療法では近年多くの薬が開発され、大きく分けて9種類の内服薬と4種類の注射薬が使えるようになっています。現時点では2型糖尿病を完全に治すことは難しいですが、これらの薬を活用し、病気と上手に付き合うことで生涯良い状態を保つことができます。

早期発見が重要

 糖尿病と診断されても、血糖値を良い状態に保っておけば、合併症を起こさずに糖尿病のない方と変わらない生活を送ることが可能です。そのためには早期に発見して治療を開始することが重要です。血糖値がかなり高い状態になると、口渇、多飲、多尿、体重減少などの症状が出現しますが、2型糖尿病では早期には症状は出ません。これらの症状が出ている場合には、相当に悪化した状態と考えるべきです。

 多くの2型糖尿病は体質や加齢によって発症してくるものであり、診断されたとしても決して恥ずかしい病気ではありません。健康診断などで血糖値の異常を指摘されたら、ためらわずに医療機関に相談してください。

河北新報掲載:2022年2月25日
一部改訂:2025年10月17日

今井 淳太
(いまい じゅんた)

宮城県出身。1999年東北大学医学部卒業。いわき市医療センター内科を経て2006年東北大学大学院医学系研究科修了。2007年より当院糖尿病代謝科に所属。2018年より東北大学大学院医学系研究科准教授、2025年に東北大学病院糖尿病代謝・内分泌内科長に就任。

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