子どもの舌足らずと舌小帯短縮症
丸谷由里子(東北大学病院 小児歯科 講師)
2025.10.24 Fri
5歳以降は手術を検討
幼児は発音未熟
お子さんの話し方が「舌足らず」だと感じ、気になったことはありませんか。
発音するには、唇や舌などの器官が複雑に連動する必要があります。幼児期はその動きが未熟なため、発音があいまいだったり、言いにくい音があったりするのは自然です。成長とともに発音は明瞭になります。
うまく発音できないことを構音障害と言います。構音とは言語音を作り出すことで、舌小帯異常のため舌が十分に動かせず、構音に障害をきたす場合もあります。舌小帯は舌の裏側にあるすじ状の膜で、舌の動きに関係します。
舌小帯が短いか、舌の先端まで付着していると、舌の動きが制限され十分に動かせません。異常の一つの目安は、舌を前に出そうとしても下唇より前に出せず、先端が舌小帯に引っ張られてハート形にくびれることです。また、舌を上あごまで持ち上げられません。
その結果、構音や哺乳、摂食などの口腔機能に悪影響を及ぼします。これを「舌小帯短縮症」や「舌強直症」と言います。
舌小帯短縮症では、サ行、タ行、ラ行の発音に障害が見られます。構音機能は5歳頃まで発達するため、それまでは舌をよく動かすよう意識し、伸ばす・持ち上げるなどのトレーニングを行い経過を見ます。軽度の構音障害であればトレーニングで改善します。
術後に訓練必要
5歳を過ぎても構音障害が見られる場合、舌小帯切除が必要か判断します。その前に切除を検討する必要は基本的にありません。5歳以降の手術で構音機能の改善は十分可能です。
ただし、舌小帯切除を行えばすぐに舌が自由に動き、摂食や発音の問題が解決するわけではありません。舌は筋肉の固まりで、正しい動きを習得するにはトレーニングが必要です。
術後は傷が完全に治る前から舌を積極的に動かさないと、傷口が固まり、切除の効果が十分に得られないことがあります。切除は処置を落ち着いて受けられ、術後に舌のトレーニングを継続できる年齢で行うのが望ましいとされています。
舌小帯短縮症は、摂食や構音の問題だけでなく、舌が上に持ち上がらないことで舌の位置が下がり、受け口やすきっ歯などにつながることもあります。
ぜひ一度、お子さんの舌の動きをチェックしてみてはいかがでしょうか。
河北新報掲載:2025年8月8日
丸谷 由里子
(まるや ゆりこ)
宮城県出身。1999年東北大学歯学部卒業。2003年東北大学大学院歯学研究科修了。東北大学小児発達歯科学分野、岩手医科大学小児歯科学分野を経て、2018年より現職。専門は小児歯科学。