顔のぴくつきや痛みの原因は?
遠藤英徳(東北大学病院 脳神経外科 科長)
2025.12.5 Fri
脳血管、神経圧迫の恐れ
動脈硬化で蛇行
「顔が勝手にぴくぴく動く」「顔の片側が突然ズキッと痛む」といった症状にお悩みの方はいませんか? もしかすると「神経血管圧迫症候群」と呼ばれる病気によるものかもしれません。
神経血管圧迫症候群とは、脳血管が脳神経を圧迫することにより、神経の機能に異常が生じる疾患群です。年齢とともに動脈硬化が進み、血管が蛇行して神経に接触し圧迫します。代表的な疾患に、「片側顔面けいれん」と「三叉(さんさ)神経痛」があります。
片側顔面けいれんは、意思とは無関係に、顔の片側がぴくぴくとけいれんしてしまう病気です。
目元だけの軽いぴくつきから始まりますが、次第に口元、場合によってはあごや首にまで広がります。会話中や緊張時など、表情を作ろうとしたときに出現し、人目が気になるようになることもあります。進行するとまぶたが強く閉じ、自分の意思で開けられない場面も出てきます。
三叉神経痛は、顔の片側に電気が走るような鋭い痛みが、突発的に繰り返し起こる病気です。痛みの部位は、おでこ、頬、顎などに分かれています。
洗顔、歯磨き、食事、会話などの刺激で誘発され、数秒間続く鋭い痛みにより、日常生活が著しく制限されます。歯の痛みと間違えて、歯科治療を受けてしまう方もいます。強い痛みへの恐怖から、食事を避けるケースも見受けられます。
専門医と相談を
治療は薬物療法と手術療法があります。片側顔面けいれんには、ボツリヌス毒素注射が用いられます。けいれんしている部位に注射し、一時的に筋肉の動きを抑えて症状を軽減します。三叉神経痛には、抗てんかん薬や神経の興奮を抑える薬が処方されます。
より根本的な神経血管圧迫症候群の治療として、微小血管減圧術と呼ばれる手術療法があります。全身麻酔下での耳の後ろの後頭部の開頭手術が必要ですが、成功すれば再発率も低く、高い治療効果が期待されます。
ただし、いずれの治療法も副作用や合併症のリスクを伴います。治療の選択の際は、脳神経外科を含む専門医とよく相談し慎重に判断することが大切です。少しでも快適な日常生活を取り戻すためにも、気になる症状があれば、専門医の受診をお勧めします。
河北新報掲載:2025年9月26日
遠藤 英徳
(えんどう ひでのり)
岩手県出身。2001年東北大学医学部卒業。米国スタンフォード大学、広南病院脳神経外科部長・副院長などを経て、2023年に東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野教授、東北大学病院脳神経外科科長に就任。