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〔いのち)の可能性をみつめる

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小児がんのトータルケア

笹原洋二(東北大学病院 小児腫瘍科 科長)

治癒後も見据えて支援

診断と治療、進歩

 まれですが、子どももがんを発症します。小児がんには、血液のがんの白血病や悪性リンパ腫、固形腫瘍の神経芽腫や肝芽腫、腎芽腫などのほか、さまざまな種類の脳腫瘍があります。

 初期症状は多様です。白血病では発熱が続く、貧血で顔色が悪くふらふらする、あざが多くなり鼻出血が止まらないといった症状があります。悪性リンパ腫は、発熱が続いて倦怠(けんたい)感が強くなり、首や体のリンパ節が腫れてだんだん大きくなったり、呼吸困難になったりします。

 固形腫瘍は、おなかが張ってしこりに触ることができる、血尿が出る、目が腫れて突出するなどがあります。脳腫瘍で生じやすいのは、頭痛が長引き、吐き気や嘔吐(おうと)が続く、意識障害があるといった症状です。こうしたいつもと違う症状があれば、ためらわずに医療機関を受診することをお勧めします。

 最近の小児がんの診断と治療は進歩しています。従来の血液検査や画像検査に加えて、腫瘍の遺伝子診断が可能となっています。

 宮城県では小児がん拠点病院の東北大学病院と、連携する宮城県立こども病院が診療を行っています。小児がんは希少疾患のため、全国の施設が同じ治療を行って、治療成績を数年ごとに改善することを目指した臨床研究が行われています。

 その結果、急性リンパ性白血病で低リスクの場合は化学療法のみで90%以上の治癒が望める状況になりました。治りにくいタイプも治療方法の改善が続けられ、骨髄移植や臍帯血(さいたいけつ)移植、個別の分子標的薬が治療の選択肢に加わりました。白血病のタイプによってはT細胞に遺伝子を組み込んだ細胞治療「CAR-T療法」が可能になっています。

生活の質を追求

 小児がん治癒後の長い人生で生活の質(QOL)を保つため、入院中の不安をなるべく少なくして治療を受け、退院後も安心して生活できるようにすることも重要です。

 例えば、長期入院では教育関係の方々と連携し、小中学校の院内学級や高校生の遠隔授業で復学を支援します。きょうだい支援や成人への移行期支援なども行います。医師、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカー、チャイルドライフスペシャリスト、病棟保育士、院内学級教師による多職種のチームが、できる限りサポートしています。

河北新報掲載:2025年11月28日

笹原 洋二
(ささはら ようじ)

山形県出身。1991年東北大学医学部卒業。八戸市民病院小児科を経て1997年東北大学大学院医学系研究科修了。2000年にハーバード大学・ボストン小児病院免疫学分野に留学。2015年より東北大学大学院医学系研究科准教授、2019年に東北大学病院小児腫瘍科科長に就任。

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