子どものすきっ歯
齋藤幹(東北大学病院 小児歯科 科長)
2026.2.27 Fri
原因次第で治療が必要
歯並びで最初に目が行くのは上の前歯ではないでしょうか。成人の場合、歯と歯の隙間はほとんどないのが正常な状態です。しかし、7歳ごろに上顎から永久歯の前歯が生える際、隙間がある「すきっ歯」の状態になっていることがあります。この時期を、小児歯科領域では「みにくいあひるの子の時代」と呼んでいます。
改善する可能性
見た目が悪く、不安を感じる保護者の方も多いと思いますが、多くの子どもは隣の歯が生えてくることによって前歯が中央へ押され、隙間は徐々に狭くなります。犬歯が生えそろう11歳ごろまでに隙間が自然に改善する可能性があります。
しかし、全てが正常な成長過程における一時的なものではなく、治療が必要なケースもあります。
一つ目は上唇小帯の影響です。上唇小帯とは、上の歯茎と上唇をつなぐ上の前歯の中央部にあるひだです。子どもはこのひだが比較的長く、前歯の間に入り込むことによってすきっ歯になってしまうことがあります。乳歯列の場合は経過観察で済みますが、上の前歯が生えてくる7歳ごろになっても長い場合は切除が必要になる場合があります。
二つ目は過剰歯の影響です。上の前歯の間に、余計な歯が存在していることがあります。前歯同士が離れたり、位置がずれたりして、隙間ができるのにつながります。歯科医院でエックス線検査を行えば過剰歯の有無は分かります。
指しゃぶりでも
三つ目は口に関する子どもの癖です。指をしゃぶったり、爪をかんだりする行為のほか、正しいのみ込みができない異常嚥下(えんげ)癖が影響することがあります。
指しゃぶりは親指で上の前歯を前に押し出す力がかかり、出っ歯やすきっ歯になることがあります。爪かみは歯の間に爪が入ることで歯に余計な力がかかるため、隙間ができる恐れがあります。異常嚥下癖も母乳を飲む時のように舌を前歯に押し当ててのみ込むため、上下の前歯に隙間が生じかねません。
前歯の歯並びやかみ合わせに問題があると歯科矯正治療が必要性になりますが、口に関連した癖が続いていると治療期間が長くなったり、治療後に歯並びが元に戻ったりすることがあります。そのため、すきっ歯に影響を与えるような癖は早めに直しておくことが重要です。
前歯の隙間は、歯の位置、歯や顎の大きさのアンバランスのために自然に改善しない場合があります。気になる場合は歯科医院を受診して、原因を明らかにしておくことをお勧めします。
河北新報掲載:2023年1月13日
一部改訂:2026年2月27日
齋藤 幹
(さいとう かん)
大阪府出身。長崎大学歯学部卒業後、ヘルシンキ大学バイオテクノロジー研究所へ留学。2013年より東北大学大学院歯学研究科 小児発達歯科学分野へ所属。2024年より同分野教授、ならびに東北大学病院 小児歯科 科長に就任。