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肥満は全て病気なの?

高橋圭(東北大学病院 糖尿病代謝・内分泌内科 病院講師)

「肥満症」なら治療必要

線引きはっきり

 太っている状態は病気なのでしょうか? それとも病気ではないのでしょうか? 

 医学では、はっきりとした決まりがあります。

 まず「体重÷身長÷身長」の数値を体格指数(BMI)と言い、BMIが25以上だと肥満と呼びます。身長は、メートルに換算して計算します。難しくありませんので、自分で計算してみましょう。

 ただし、肥満のみ、つまりただ太っているだけでは疾病には該当しません。もちろん、肥満も解消した方が好ましいのですが、医学的な減量治療の対象にはなりません。

 医学的な観点で減量が必要となるのは、肥満で、かつ肥満に関連する健康障害を何か一つでも併せ持った場合で、これを肥満症と呼びます。

11項目の確認を

 肥満症の診断に必要な健康障害は、全部で11項目(図表参照)あります。

 肥満の方で、どれか1項目でも当てはまれば肥満症です。医療機関で診察や検査をすれば、該当するかどうか分かります。既に定期通院している方は、医師に相談してください。

 どこにも定期通院していない方は、まずは自分でチェックしましょう。

 職場や市町村の健康診断の結果は残っていませんか? 残っていれば、見てみてください。そこに、耐糖能障害や脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風や、肥満関連腎臓病に関するコメントが記載されていないでしょうか。

 胸が締め付けられるように痛かったことがあれば冠動脈疾患、意識不明になったことがあれば脳梗塞や一過性脳虚血発作の可能性もあります。超音波検査で「肝臓に脂肪がたまっている」と指摘されたことがあれば、非アルコール性脂肪性肝疾患かもしれません。

 女性の方は、月経異常などはないでしょうか。家族に「睡眠中に息が止まっている」と言われたことがある方は睡眠時無呼吸症候群の、膝などが痛い方は運動器疾患の可能性があります。

 肥満症は単なる肥満とは異なり病気ですので、医療機関での治療の対象となります。治療の基本は食事療法と運動療法ですが、状況によっては薬物療法や外科療法の対象となることもあります。

 まずはお近くのクリニックにご相談ください。

河北新報掲載:2026年1月23日

高橋 圭
(たかはし けい)

東京都出身。東北大学医学部卒業、東北大学大学院医学系研究科修了。東北大学病院医員、東北大学大学院医学系研究科助教を経て、2025年より東北大学病院 糖尿病代謝・内分泌内科 病院講師。専門は糖尿病、肥満症や代謝性疾患。

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