「趣味活動」「生きがい」と健康との関連を 大規模データで解明へ -東北大学、ラフ株式会社、株式会社データシードが 共同研究を開始-
2026.6.8 Mon
研究発表のポイント
- 東北大学、ラフ株式会社、株式会社データシードは、中年期からの趣味活動や生きがいと健康(QOLなど)との関連を明らかにするための共同研究を2026年6月より開始します。
- 全国約3万人を対象とした大規模インターネット調査データ(JACSIS/JASTIS研究1)を、疫学および統計学の手法を用いて解析し、どのような特性を持つ人において趣味活動や生きがいを持つことがQOLに関連するのかを探索する点が特徴です。
- 特に、50歳以上の中年期・高齢期に注目し、中年期からの生きがい支援や健康づくりの施策立案に資する知見の創出を目指します。
概要
人生100年時代を迎え、健やかで幸福な生活を送るために「趣味活動」や「生きがい」の重要性が高まっています。しかし、どのような特性を持つ人においてその価値がより発揮されるのか、またどの程度の活動頻度が望ましいのかについては、科学的な検証が十分ではありません。特に、心身の変化が生じやすい50歳以上の中年期・高齢期において、趣味活動や生きがいが健康関連アウトカムにどのような役割を果たすかを明らかにすることは、効果的な健康づくり施策の立案においても重要です。
東北大学大学院医学系研究科(所在地:宮城県仙台市、研究科長:石井直人、以下「東北大学」)と、ラフ株式会社(東京都港区、代表取締役:永渕成記、以下「ラフ」)、株式会社データシード(本社:東京都葛飾区、代表取締役:吉田寛輝、以下「データシード」)は、2026年6月から、「趣味活動や生きがいとQOL(生活の質)などの健康アウトカムとの関連の分析」に関する共同研究を開始しました。
本研究では、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の田淵貴大准教授が研究代表者を務め、2020年から毎年実施している日本全国の一般住民約3万人を対象としたインターネット調査プロジェクト「JACSIS/JASTIS研究」の既存データを活用します。年齢、性別、社会経済状況、慢性疾患の罹患状況、社会的つながり等の個々人の状態を考慮した上で、趣味活動や生きがいの有無・種類・頻度が、QOLや主観的健康感、精神的健康(抑うつ・ストレス等)とどのように関連しているかを、記述疫学的・統計学的に分析します。本研究の成果を通じて、特に中年期以降の世代における効果的な生きがい支援や健康づくりの施策の方向性を提言し、エビデンスに基づいた社会実装への貢献を目指します。
詳細な説明
研究の背景
趣味活動や生きがいは、人々が健やかに、かつ幸せに生活していくための重要な要素です。多くの人々にとって、趣味活動・生きがいがあることはQOLなどの健康アウトカムに良い影響を及ぼすことは明らかとなっていますが、一方で「その効果がどのような特性を持つ人にとってより発揮されやすいのか」という個人差や、「どのような種類の活動を、どの程度の頻度で行うのが望ましいのか」という具体的な指針については、議論の余地があります。
人生100年時代を迎え、生活様式や社会的背景が多様化する中で、個々人の状況に応じた生きがいづくり支援の必要性が高まっています。特に、プレシニア層(50〜60歳代)の中年期から高齢期にかけては、健康問題や生活環境の変化、ライフイベントなどで心身の変化が生じやすい時期であり、老後の健康を見据える上で、趣味活動や生きがいの存在は重要な役割を果たすと考えられます。しかしながら、これまで50歳以上の中年期・高齢期に注目し、どのような特性を持つ人々において趣味活動が健康に関連するのかを科学的に検証した例は十分ではありませんでした。
今回の取り組み
東北大学、ラフ、データシードの3者は、2026年6月から、趣味活動と生きがいとQOLなどの健康アウトカムとの関連を明らかにすることを目的とする共同研究を開始しました。
本研究では、東北大学が実施する大規模インターネット調査データ「JACSIS/JASTIS研究」注1を活用します。データシードが持つ高度なデータ解析スキルと、ラフが提唱する、学ぶこと自体を娯楽として楽しむ「学びレジャー」という考え方、およびその市場創造を通じて培ってきた趣味活動・生きがいデザインに関する現場の専門的知見を掛け合わせることで、効果的な生きがい支援や健康づくりの施策立案に資する知見の創出を目指します。
具体的には、まず趣味活動と生きがいについての特徴を記述疫学的に明らかにした上で、趣味活動や生きがいの有無・種類・頻度などが、QOLや主観的健康感、抑うつ・ストレスといった多角的な健康指標とどのように関連しているかを、多変量回帰分析等の統計手法を用いて検討します。さらに、年齢、性別、社会経済状況、慢性疾患の罹患状況、社会的つながり等の背景因子でグループ分けを行い、どのような特性を持つ人々において趣味活動や生きがいと健康との関連がより顕著に現れるかを明らかにします。
特に、50歳以上の中年期・高齢期の人々に注目することで、将来の健康を見据えた「中年期からの生きがいづくり・趣味活動の推進」に資する具体的な知見を得ることを重視しています。
- 国立大学法人東北大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学分野
長年にわたる大規模調査の実績と、日本の公衆衛生学をリードしてきた豊富な知見を活かし、研究全体のデザインや高度なデータ解析を担当します。研究の信頼性を担保する「科学的知の拠点」としての役割を担います。
Webサイト: https://www.med.tohoku.ac.jp/ - ラフ株式会社
「学ぶこと」を娯楽として楽しむ「学びレジャー」市場の創造を通して、多くの人々の趣味活動や生きがいをデザインしてきたノウハウや専門的知見を活用し、得られた研究結果の現場目線での解釈を進めます。また、得られたエビデンスを実装し、テーラーメイドに趣味活動の提供や生きがい支援ができる仕組みづくりをしていく役割を担います。
Webサイト:https://laughinc.co.jp/ - 株式会社データシード
高度な統計解析技術とプロジェクトマネジメントのスキルを提供し、円滑な研究遂行を支援します。データの質的管理や解析プロセスの最適化を通じて、研究成果の精度向上に寄与します。
Webサイト:https://dt-seed.com/
今後の展開
本共同研究の成果は、趣味活動・生きがいとQOLなどの健康アウトカムの関連性に関する学術論文として発表することを目指します。趣味活動や生きがいがどのような特性を持つ人々のQOLに関連するのかを客観的なデータに基づいて科学的に示すことで、中年期・高齢期を始めとした様々な人々の、効果的な生きがい支援・健康づくり施策の方向性を提言していくことを目指します。また、必要に応じてJACSIS/JASTIS研究のノウハウおよび枠組みを用いた新規調査を実施し、趣味活動や生きがいとQOLに関する知見をさらに蓄積していきます。
用語説明
- JACSIS/JASTIS研究(Japan COVID-19 and Society Internet Survey/ Japan Society and new Tobacco Internet Survey)は田淵貴大が研究代表者を務める18~79歳を主とした日本全国の一般住民の男女約3万人を対象とした新型コロナ問題や新型タバコ問題、社会生活全般や健康などに注目したインターネット調査プロジェクトである。調査は毎年実施されている。詳しくは、下記Webサイトの説明も参照ください。 https://jacsis-study.jp/ および https://jastis-study.jp/ ↩︎
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野
准教授 田淵 貴大(たぶち たかひろ)
TEL: 022-717-8123
Email: takahiro.tabuchi.a5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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