加熱式タバコ使用は自覚的頻発頭痛と有意に関連 -世界初、2万人の調査で加熱式タバコと慢性頭痛の有意な関連を実証-
2026.6.30 Tue
研究ポイント
- 加熱式タバコ使用と自覚的頻発頭痛の関連を世界で初めて調査・報告
- 日本全国2万3千人超を対象に、紙巻きタバコ・加熱式タバコと自覚的頻発頭痛の関連を解析
- 現在・過去の紙巻きタバコ使用、現在の加熱式タバコ使用は、自覚的頻発頭痛と有意に関連
- 加熱式タバコは「害が少ない」と認識されがちだが、自覚的頻発頭痛との関連は否定できない
- 新型タバコを含めた頭痛対策・禁煙指導の重要性を示す世界初の研究成果
概要
長岡技術科学大学 体育・保健センターの勝木将人准教授、獨協医科大学 脳神経内科の鈴木圭輔教授らの研究グループは、東北大学大学院医学系研究科の田淵貴大准教授と共同で、日本全国の一般住民23,228名を対象とした大規模調査により、紙巻きタバコおよび加熱式タバコ使用と自覚的頻発頭痛との関連を検討しました。
その結果、紙巻きタバコだけでなく加熱式タバコの使用者も、自覚的頻発頭痛の有病率が有意に高いことが明らかになりました。関連の強さは紙巻きタバコより弱いものの、「加熱式タバコの使用は慢性頭痛と関連している」可能性が示されました。
本研究は、新型加熱式タバコを含めた喫煙行動と頭痛の関連を明らかにした世界初の大規模疫学研究であり、頭痛診療および公衆衛生政策に新たな指針を与えるものです。本研究成果は、2026年6月20日(オンライン早期公開日:2026年3月2日)付で国際学術誌HEADACHE: The Journal of Head and Face Painに掲載されました。

詳細
研究の背景
頭痛は、生活への支障が大きい疾病第2位であり、生活の質を大きく損なう神経疾患の一つです。これまで紙巻きタバコと頭痛の関連は報告されてきましたが、近年急速に普及している加熱式タバコと頭痛の関係については、科学的報告はありませんでした。
加熱式タバコは「紙巻きタバコより害が少ない」と認識されることが多く、日本では特に使用者が急増しています。しかし、ニコチンをはじめとする生理活性物質を含む点では共通しており、頭痛との関連を検証する必要がありました。
研究の内容と成果
2025年に実施された日本全国の一般住民を対象としたインターネット調査The Japan Society and New Tobacco Internet Survey (JASTIS)に参加した23,228名を解析対象としました。過去1年間の頭痛頻度を自己申告で評価し、「時々」または「頻繁に頭痛がある」と回答した場合を自覚的頻発頭痛ありと定義しました。
主な結果:
全体の25.5%(5,923名)が自覚的頻発頭痛を有していました。
現在の紙巻きタバコ使用者:自覚的頻発頭痛との有意な関連がありました。(調整オッズ比 1.71)
過去の紙巻きタバコ使用者:同様に有意な関連がありました。(調整オッズ比 1.54)
現在の加熱式タバコ使用者:同様に有意な関連がありました。(調整オッズ比 1.15)
自覚的頻発頭痛を有する5,923名のうち、紙巻きタバコについては、「現在使用」12.1%(717名)、「過去使用」29.5%(1,745名)、「使用歴なし」58.4%(3,461名)でした。加熱式タバコを「現在使用」14.4%(856名)、「過去使用」11.2%(663名)、「使用歴なし」74.4%(4,404名)でした。
紙巻きタバコおよび加熱式タバコの使用状況を組み合わせて解析すると、自覚的頻発頭痛を有する人のうち、「両者とも未使用であった割合は55.6%」にとどまり、約4割が何らかのタバコ製品の使用歴を有していました。
今後の展開
本研究は、「加熱式タバコは『害が少ない』という認識」を改めるきっかけになるものです。頭痛診療の現場においては、紙巻きタバコだけでなく、加熱式タバコの使用についても生活指導や問診で把握する重要性が示されました。また、公衆衛生の観点からも、新型タバコを含めた包括的なタバコ対策や啓発活動に、頭痛という視点を組み込む必要性を示しています。今後は、片頭痛や群発頭痛といった一次性頭痛のサブタイプごとの関連の違いや、禁煙や分煙といった生活指導で慢性頭痛に変化が現れるのかなどを検討していきます。
研究成果の公表
本研究成果は、アメリカ頭痛学会 公式学術雑誌 HEADACHEに掲載されました。
論文タイトル:Conventional Cigarettes, Novel Heated Tobacco Products, and Self-Reported Frequent Headache Association in Japanese Individuals: Insights from the JASTIS Study, a Japanese Cross-Sectional Analysis
(日本語タイトル:紙巻きタバコ、加熱式タバコ、および日本人における自覚的頻発頭痛の関連性:JASTIS研究からの知見)
著者名:Masahito Katsuki, Kieran Moran, Muneto Tatsumoto, Keisuke Suzuki, Tomokazu Shimazu, Yasuhiko Matsumori, Yutaro Fuse, Miguel Ángel Huerta, Daijiro Sugiyama, Jackson T.S. Cheung, Siobhán O’Connor, Tomás Ward, Takahiro Tabuchi.
掲載誌:HEADACHE: The Journal of Head and Face Pain
掲載日:2026年6月20日(オンライン早期公開日:2026年3月2日)
DOI:https://doi.org/10.1111/head.70068
助成・謝辞
本研究は東北大学と第一三共ヘルスケア株式会社の共同研究により実施されました。またアイルランド研究基金(Taighde Éireann – Research Ireland, Grant number 12/RC/2289_P2)およびマリー・キュリー奨学金(European Union’s Horizon 2020 research and innovation programme under the Marie Skłodowska-Curie grant, grant agreement No 101034252)の研究資金、文部科学省科学研究費補助金(JP20K19633、JP23K21579、JP24H00663、JP21H04856、JP25H01079)、国立環境研究所の研究資金により実施されました。
- 関連資料
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- 公衆衛生学分野