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東北大学発スタートアップが 炎症性腸疾患の新薬開発を始動 ―患者由来オミクス研究を基盤とするMerak-Dubhe Therapeuticsが東北大学ベンチャーパートナーズによる資金調達―

発表のポイント
  • 東北大学大学院医学系研究科の角田洋一准教授が炎症性腸疾患(IBD)1に関する研究成果を基盤として設立した株式会社Merak-Dubhe Therapeutics(以下、MDTx)は、東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社(以下、THVP)を無限責任組合員とするTHVP-3号投資事業有限責任組合より、第三者割当増資による資金調達を完了しました。
  • MDTxは、株式会社アークメディスンが創製したIBD治療薬候補化合物MDTX-001について、独占的に評価し、将来のライセンス契約に向けて交渉する権利2を取得、東北大学創薬戦略推進機構(以下「東北大学」)と共同研究契約を締結し、東北大学の研究成果および研究基盤を活用して、MDTX-001の医薬品としての可能性を検証します。
概要

東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野の角田洋一准教授、正宗淳教授らの研究グループは、IBD患者の臨床情報や血液検体を用いた研究を進め、従来の治療標的とは異なる生体メカニズムが病態に関わる可能性を見出してきました。MDTx(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:増永太郎)は、こうした東北大学の研究成果と研究基盤を医薬品開発につなげることを目的として設立された東北大学発の創薬ベンチャーです。
今回、MDTxはTHVP(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:佐藤耕司)のTHVP-3号ファンドからの資金調達を完了しました。本資金調達により、東北大学の研究成果を社会実装につなげる創薬開発をさらに加速していきます。
また、MDTxは東北大学と共同研究契約を締結し、株式会社アークメディスン(本社:茨城県つくば市、代表取締役:田中圭悟)が創製したIBD治療薬候補化合物MDTX-001の医薬品としての可能性を検証する研究を開始します。

詳細な説明

研究の背景
IBDは、潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される、腸に慢性的な炎症が起こる病気です。国内の患者数は40万人以上と推定されており、若年で発症することが多く、症状の悪化と改善を繰り返しながら、長期間にわたって治療を継続する必要があります。国の指定難病にも含まれており、患者の学業、就労、妊娠・出産、日常生活に長く影響し得る身近な難病です。
近年、IBDに対しては、抗体医薬品や低分子薬など複数の治療薬が使用できるようになり、治療成績は大きく向上してきました。一方で、現在の治療薬では十分な効果が得られない患者や、治療中に効果が弱くなる患者もいます。そのため、既存治療とは異なる作用を持つ新しい治療薬の開発が求められています。
東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野では、IBD患者の臨床情報、血液検体、内視鏡所見などを組み合わせた研究を進めてきました。特に、遺伝子や血液中の多数のタンパク質を網羅的に解析するオミクス研究3を通じて、病気の活動性や腸管炎症の状態を反映するバイオマーカー4や、炎症の持続に関わる分子シグナルの探索を行ってきました。これらの研究を通じて、これまで主に標的とされてきた免疫経路とは異なる生体メカニズムがIBDの病態に関わる可能性を見出してきました。

今回の取り組み
MDTxは、東北大学におけるIBDの臨床研究、オミクス研究、バイオマーカー研究を新薬開発につなげることを目指して2026年5月に設立された創薬スタートアップです。MDTxは、株式会社アークメディスンが創製したIBD治療薬候補化合物MDTX-001について、独占的に評価し、将来のライセンス契約に向けて交渉する権利を取得しています。MDTX-001は、IBDに対する新たな治療選択肢となる可能性が期待される前臨床段階5の候補化合物です。
今回、MDTxは東北大学と共同研究契約を締結し、東北大学が有するIBDの臨床研究基盤、患者検体を用いた解析技術、オミクス研究およびバイオマーカー研究の知見を活用し、MDTX-001の医薬品としての可能性を検証します。具体的には、どのような病態を持つ患者に有効である可能性があるのか、また、治療効果をどのような指標で評価できるのかを検討します。
MDTxは、東北大学との共同研究とTHVPによる支援により、MDTX-001の薬効評価、非臨床試験、臨床開発に向けた準備を加速させます。

今後の展開
今後、MDTxは東北大学との共同研究を通じて、MDTX-001の医薬品としての可能性を検証し、IBDに対する新しい治療薬の開発を進めます。東北大学が有する研究基盤とオミクス研究の知見を活用することで、病態に基づいた創薬開発を目指します。
本取り組みは、東北大学で得られた病態理解やバイオマーカー研究の成果を、大学発ベンチャーを通じて医薬品開発へつなげる産学連携の取り組みです。東北大学、MDTx、THVPは、IBDに対する新たな治療選択肢を患者に届けることを目指します。

<東北大学創薬戦略推進機構について>
創薬戦略推進機構(機構長:張替秀郎)は、基礎研究から臨床試験、さらには出口戦略までを一気通貫で支援する共創型創薬活動の推進を目的として、2023年12月に設置されました。創薬研究開発プラットフォームとハブ機能を中核として、本学が強みとする創薬に関わる関連部局・設備・施設を連携した共創型創薬エコシステムを構築しています。

用語説明
  1. 炎症性腸疾患(IBD):腸に慢性的な炎症が起こる病気の総称で、潰瘍性大腸炎とクローン病が代表的です。腹痛、下痢、血便などの症状を起こし、症状の悪化と改善を繰り返しながら、長期にわたる治療が必要となります。 ↩︎
  2. 独占評価よび独占交渉契約:候補化合物について、一定期間、特定の企業が独占的に評価し、将来のライセンス契約に向けて交渉するための契約です。 ↩︎
  3. オミクス研究:血液や組織に含まれる多数の分子を網羅的に調べる研究です。タンパク質、遺伝子、代謝物などを幅広く解析することで、病気の特徴や治療標的の候補を探します。 ↩︎
  4. バイオマーカー:病気の状態や治療効果を評価するための目印となる指標です。血液検査、組織検査、画像検査などから得られる情報が含まれます。 ↩︎
  5. 前臨床段階:人を対象とした臨床試験を開始する前に、薬の有効性や安全性を評価する段階です。 ↩︎
問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科 消化器病態学分野
准教授 角田 洋一
TEL:022-717-7171
Email:gastro_press_med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学病院広報室
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
TEL:022-717-8032
Email:press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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