これまでの経歴と現在の仕事内容を教えてください

東北大学病院に入職以来、CT、一般撮影、放射線治療、MRIといったさまざまな部門を経験しました。それぞれの部門で、患者さんの診断や治療に不可欠な画像情報を提供する業務に携わることができ、大変貴重な経験となっています。現在は放射線治療部門に所属し、放射線治療装置の操作や治療計画の実施などを行っています。

放射線技師を目指したきっかけはどんなことですか

人の役に立つ仕事がしたいという漠然とした思いがありましたが、学生時代に部活の友人がけがをした際、「診療放射線技師」という仕事を知りました。医療機器を使い、的確な画像情報で医師の診断をサポートする姿に魅力を感じたのが最初のきっかけです。その後、この分野がまだまだ発展し続けていることを知り、奥深さとやりがいを感じ、診療放射線技師を目指すことを決意しました。

東北大学病院に入職した経緯や理由は

地元札幌の大学で診療放射線技師を目指す中、恩師から東北大学病院の募集情報をいただきました。先進的な臨床技術はもちろん、研究にも力を入れている点に強く引かれ、「ぜひここで働きたい！」と強く思いました。また、幼少期に数年間仙台に住んでいた経験があり、土地勘があったことも入職を決めた大きな理由の一つです。

仕事におけるやりがいと、大切にしていることを聞かせてください

放射線治療は、治療の目的と効果が比較的明確に分かるため、患者さんの回復を直接的に感じることができ、大きなやりがいにつながっています。治療期間中、患者さんと毎日顔を合わせる中で、体調が改善されたり、腫瘍が小さくなる兆候が見られたりすると、本当にうれしく思います。

一方で、放射線治療が万能ではないことも事実です。痛みを和らげるための緩和照射も、私たちの重要な役割の一つです。以前、骨転移による痛みに苦しんでいた患者さんが、緩和照射を終えられた際、「これで最後に孫と温泉に行けるよ。ありがとう」と笑顔で話してくださったことが忘れられません。患者さん一人ひとりの状況や思いに寄り添い、最適な治療を提供することの大切さを改めて感じました。

これから特に力を入れていきたいことはありますか

2025年より、東北大学病院では「Weekend Radiotherapy¹」を開始しました。これまで2カ月近くかかっていた前立腺がんの放射線治療が、最新の研究により、週1回の照射を2回行うことで同等の治療効果が得られることが分かってきました。この成果に基づき、当院では土曜日に2回の照射を行うことで、平日の通院が難しい働く世代の方にも、質の高い放射線治療を提供できる体制を整えました。

新たな試みには困難も伴いますが、医師、放射線技師、医学物理士、看護師が一丸となって、このWeekend Radiotherapyを成功させるために尽力しています。将来的には、この取り組みをさらに発展させ、より多くの患者さんが治療と生活の両立を実現できるよう貢献していきたいと考えています。

趣味や続けていること、休日の過ごし方は？

小さい頃から自転車が好きで、数年前から自転車通勤を始め、ロードバイクを購入しました。本格的なレースというよりは、のんびりと景色を楽しむポタリングが中心です。時間を見つけては、塩釜や大和町、愛子方面へロードバイクでラーメン屋さん巡りをしています。知らない道を走る中で、新しいお店や美しい景色を発見することが、日々のストレス解消になっています。また、子どもたちと近所の公園へサイクリングに行くのも、大切な楽しみの一つです。

1. 週末（土曜日）の放射線治療のこと。 ↩︎

佐藤 裕幸（さとう ひろゆき）

北海道出身。放射線技師。2009年より東北大学病院診療技術部放射線部門に勤務。