子宮と受精卵 着床の仕組み
柴田 峻(東北大学大学院医学系研究科 環境遺伝医学総合研究センター 情報遺伝学分野 助教)
2025.8.18 Mon
東北大学大学院医学系研究科の柴田峻助教は、生命の始まりである「ヒト発生」の謎に挑んでいます。受精卵が母体の子宮内膜に着床する過程は、これまで母体内で進むため直接観察することが困難でした。柴田助教は、多能性幹細胞(様々な細胞に分化できる特殊な細胞)から作製した疑似胚モデルと、子宮内膜オルガノイド(臓器を模した三次元組織モデル)を組み合わせることで、試験管内での着床過程の再現に成功しました。この成果は、薬剤や環境要因がヒト発生に与える影響の理解を深め、不妊治療の高度化と新たな治療法開発への道を開くものと期待されています。

柴田 峻(しばた しゅん)
山形県鶴岡市出身。東北大学大学院生命科学研究科修了後、製薬企業勤務を経て大阪大学で博士(医学)取得。2020年より現職。幹細胞・オルガノイドを用いたヒト発生・子宮内膜の研究、不妊治療の開発に従事。