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〔いのち)の可能性をみつめる

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〔いのち)の可能性をみつめる

「出会えて良かった」と思ってもらえる認定遺伝カウンセラーに

尾形菫、山下真依(東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学専攻 遺伝医療学分野)

遺伝性疾患やその可能性がある方に正確な情報を提供し、心理社会的に支援する遺伝カウンセリング。その専門職である認定遺伝カウンセラーになることを目指して大学院で学ぶ尾形菫さん、山下真依さんに話を聞きました。

大学院に進学した経緯を教えてください。

山下

山形大学に在学中、祖母が遺伝カウンセリングを受けたのをきっかけに認定遺伝カウンセラーという専門職があることを知りました。同時に看護学の実習を通して、患者さんがその人らしく生活できるように支援したい気持ちが強くなり、遺伝についてより深く学ぼうと進学を決めました。

尾形

東北大学卒業後、宮城県内の病院に助産師として勤務し、臨床で妊娠期から出産、産後まで関わらせていただきました。その中で認定遺伝カウンセラーさんの仕事に触れ、一緒に働く中で、私も同じ職を目指したいと思い大学院に進学しました。

進学後の日々や研究室の雰囲気はいかがですか。

山下

今は遺伝性疾患についての知識を身に付けている段階で、遺伝学的検査、心理社会的サポート、コミュニケーションまで幅広く学んでいます。院生が私たち2人、先生方が5人ほどの少人数で、分からないことなどがあればすぐに相談できるアットホームな研究室です。先生方はとても親切で、恵まれた環境で学べていると実感しています。大変なこともありますが、楽しいことの方が多いですね。

尾形

学部の時とは違った楽しさがあって、学会に参加したり、アメリカへの短期留学も経験したりと、遺伝学だけではなく世界の動きにも触れられ新鮮な気持ちで毎日を過ごしています。研究室のすぐそばでは実際に認定遺伝カウンセラーさんが仕事をされていて、電話対応や打ち合わせの様子が間近で見られるのも非常に勉強になります。特に患者さんとのスケジュール調整が卓越していて、臨床でそこが苦手だった私にとっては大きな学びになっています。

取り組もうと考えている研究テーマについて聞かせてください。

尾形

助産師の経験も踏まえ、着床前診断の現状を文献レビューでまとめることを考えています。どういった気持ちで審査を待っているのかなど、患者さんの語りをベースに研究してみたいと思っています。海外から来られる患者さんも増えているため、異なる文化的背景を持つ方への遺伝カウンセリングの課題と現状といった方向性も検討しています。

山下

私も2つの方向性で検討しています。祖母が乳がんだったこともあり、一つは遺伝性乳がん卵巣がん症候群についてです。男性が病的バリアント(遺伝子の変異)を持つケースも含め、症例報告などを基に比率や現状を調べた上で、患者さんの語りを集めたいと思っています。もう一つは遺伝教育。大学の頃にがん啓発の研究をしていたので、遺伝についても正しい知識や遺伝カウンセリングの存在を伝えるために、教育の視点で海外との比較も含めた研究を考えています。

東北大学の魅力はどんなところでしょうか。

尾形

何より先生方が素晴らしいことです。学部の時から先生や周りの方にたくさん助けられてきました。先生たちは学生の意見や考えをしっかり聴いた上でアドバイスしてくださいます。すごくお忙しいはずですが、「話しかけないで」という雰囲気をまるで感じさせず、「いつでも相談に乗るよ」というスタンスでいてくださるのが本当にすてきです。学習環境、研究環境が整っている点も魅力です。

山下

私は大学院で東北大学に来て、留学生も含めて多様なバックグラウンドの学生がいることが印象的でした。授業などで関わる機会を通して、医療以外の視点や海外の視点からもさまざまな知識が得られることが、東北大学の大きな特長だと感じました。

これからの目標、意気込みを聞かせてください。

山下

認定遺伝カウンセラーは患者さんやご家族の声を聞くのが一番大切で、言葉では表せない感情だったり気持ちだったりをくみ取るコミュニケーション能力が必要だと思っています。そういう力を養って、カウンセリングの対象となる方がその方らしい生活を送れるように、心理社会面、医療面、さまざまな面からサポートできる人になりたいです。

看護学の実習の際、患者さんやご家族から「ありがとう。あなたがいてくれて良かった」と言っていただいた言葉が、今でも私の大きな支えになっています。少しでもそう思ってもらえるように、誰かのためになる行動を心がけていきたいです。

尾形

患者さんやご家族の方それぞれ、信頼に値する人というのは少しずつ異なると思うんです。例えば早く結論を言ってほしい方もいらっしゃれば、最新の正確な知識をしっかり提供してもらいたい方もいらっしゃる。一人一人にとって、どういうことが信頼に足るのかを考えられる人になりたいです。

その上で、この人に話して良かった、この人に出会って良かったと思ってもらえるような遺伝カウンセラーになれたら。家族や友人、先生方、そして臨床で関わらせていただいた全ての患者さんやそのご家族、助産師として育ててくださった職場の方々への感謝を忘れずに、今後も努力していきたいと思いますます。

休日はどのように過ごしていますか。

山下

仙台に戻ってきて実家暮らしを再開したので、家族や地元の友達と過ごしたり、友達と旅行に行ったりと、伸び伸び過ごしています。映画を見たり、ピアノを弾いたりするのも好きです。お薦めのスポットは広瀬川河川敷。牛越橋への遊歩道をお散歩するのが気持ちいいですが、最近はクマに注意しないといけないですね。

尾形

筋トレやヨガをしたり、英語のYouTubeを見て意識を高めたり(笑)しています。あとは友達と遊んだり、勉強したり、ですね。周辺スポットでは星陵会館のそばにある小高い丘が好きです。ベンチに座って過ごすだけでも気分転換になりますし、そこで本を読んだりもしています。

牛越橋への遊歩道
星陵会館そばの小高い丘

尾形 菫(おがた すみれ)

福島県出身。東北大学卒業後、助産師を経て、2025年4月東北大学大学院医学系研究科へ入学。

山下 真依(やました まい)

宮城県出身。山形大学卒業後、2025年4月東北大学大学院医学系研究科へ入学。

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