リウマチ性多発筋痛症
白井剛志(東北大学病院 リウマチ膠原病内科 講師)
2026.4.24 Fri
肩腰に急な痛み 発熱も
ある日突然、肩から首、腰からお尻や太ももにかけて筋肉痛のような症状やこわばりが出現し、動くのが大変になる病気にリウマチ性多発筋痛症があります。一般的に認知されておらず、リウマチという名称が付いているため関節リウマチだと思っている患者さんもいますが、異なる病気です。症状が肩凝りにも似ていることから、きちんと診断をされていない場合もあり、注意が必要です。
70~80歳ピーク
発症率は欧米では50歳以上の1~2%、日本では0.1%程度という報告もありますが、比較的よく見られる病気です。若年での発症はほとんどありませんが、50歳以上の中高年から発症が増え、70~80歳にかけて発症のピークとなります。女性は男性に比べて最大2倍程度、頻度が高いとされます。
主な症状として、肩・首・お尻・腰・太ももの痛みやこわばりが比較的急な経過で出現し、しばしば日常生活が困難となります。その他、全身症状として発熱、食欲不振、体重減少、だるさを伴うことがあります。通常の肩凝りや筋肉痛と異なるのがこの全身症状で、血液検査をすると炎症所見が見られます。
筋肉痛を起こす病気が他にもある上、特別な検査法がないため診断が簡単ではなく、慣れている医師の診察が必要です。
特に注意が必要なのが頭痛の合併です。こめかみの血管が腫れ、頭皮がピリピリするような痛みや食事の際に顎が疲れる症状が出る場合は、頭の血管に炎症が起きている(巨細胞性動脈炎の合併)可能性が高く、急に失明する恐れがあります。
また悪性腫瘍をきっかけに免疫反応が起き、リウマチ性多発筋痛症を発症することもあります。悪性腫瘍や血管炎が存在しなければ生命に関わるようなことは少なくなりますが、診断が遅れると体が衰弱してしまうことがあります。
ステロイド有効
症状は強くともステロイド剤が非常に効果的で、使用後数日で顕著に改善します。治療開始時の反応は良くても、すぐに使用を中止すると症状が再度出現します。症状や血液検査の結果を見ながら、ゆっくりとステロイド剤を減らしていく必要があります。
数年で服薬を中止できることもありますが、内服継続が必要となることが多く、免疫抑制薬を併用してステロイドを減らすこともあります。早期に正確な診断を受ける事が重要ですので、リウマチ専門医にご相談ください。
河北新報掲載:2023年3月24日
白井 剛志
(しらい つよし )
長野県出身。2005年東北大学医学部卒業。2012年東北大学大学院医学系研究科修了後、米国スタンフォード大学博士研究員などを経て、2024年より東北大学病院リウマチ膠原病内科講師。専門は膠原病、血管炎症。