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〔いのち)の可能性をみつめる

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広がる乳がん治療の選択肢

宮下穣(総合外科 乳腺・内分泌グループ 科長)

正しい情報の取得、大切

新薬、続々と登場

 乳がんは日本人女性の約9人に1人が経験する身近な病気です。不安に感じる方も多いと思いますが、早期に発見し適切に治療を行うことで、多くの方が治る病気でもあります。東北大学病院のデータでは、10年生存率は0期で100%、I期で96%、 II期で91%と、治療成績は良好です。

 乳がんを治すためには、手術や放射線による局所治療、薬物療法による全身治療、そしてそれらを安心して受けられるようにサポートする支持療法が重要になります。それぞれの新しい選択肢を紹介します。

 手術による局所治療では、乳がんに対するラジオ波焼灼(しょうしゃく)術(RFA)が保険適用となり、当院でも既に10人以上が治療を受けています。RFAは細い針をがんに刺して、電流によって発生する熱で焼いて死滅させる「切らない治療法」です。

 全ての方が対象となるわけではなく、有効性と安全性が確認されている「1.5センチ以下で単発の乳がん」の条件を満たす方に実施します。治療可能施設も東北では当院含めて数施設のみですので、希望する場合は事前の確認が必要です。

 薬物療法では、がん細胞の性質をピンポイントで狙う標的薬、その標的薬に抗がん剤をくっつけた薬剤、2つの標的を同時に狙う薬剤など、新薬が続々と登場しています。新薬は「治験」という臨床試験で有効性と安全性を確認後、広く一般に使えるようになります。その新薬が使用可能か、投与の対象になるのかの確認がそれぞれ必要です。

脱毛予防も進展

 治療を受けやすくするための支持療法も進歩しています。抗がん剤治療に伴う副作用の中で、多くの女性が最も負担が大きかったとするのが「頭髪の脱毛」です。従来は十分な予防手段がありませんでしたが、現在は頭皮冷却装置を抗がん剤治療中に使用することで約60%の方が脱毛を防げることが分かっています。

 防げなかった場合でも治療後早期に頭髪が回復することが示されています。各施設で徐々に導入が進み、希望者に提供しています。

 治療が進歩していくと情報は複雑になっていきます。正しい情報を得て、広がる選択肢の中から納得して治療を選択してほしいと思います。疑問や不安がありましたら、がん診療連携拠点病院などに設置されているがん相談支援センターに相談してください。

河北新報掲載:2025年12月26日

宮下 穣
(みやした みのる)

神奈川県出身。2003年東北大学医学部卒業。大崎市民病院、日本海総合病院、米国シカゴ大学を経て、2025年に東北大学大学院医学系研究科乳腺・内分泌外科学分野教授、東北大学病院総合外科乳腺・内分泌グループ科長に就任。

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