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〔いのち)の可能性をみつめる

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赤ちゃんの体の赤いあざ

玉懸(髙村) 美菜実(東北大学病院 形成外科 医員)

多くは良性の「血管腫」

治療必要な例も

 生まれたばかりの赤ちゃんの体の赤いあざに気付き「おや?」となることは珍しくありません。乳幼児の体表に発生する赤いあざの多くは「血管腫」という良性疾患で、悪いものではありません。

 最も頻度が高いのは「乳児血管腫」と「単純性血管腫」の二つで、経過や治療方法が異なります。

 「乳児血管腫」の多くは生まれた直後にはなく、生後数日から数週間で赤い斑点やあざとして体表に出現します。やがて赤いあざが次第に厚みを増し、まるでイチゴのような鮮やかな赤色の膨らみとなり、この様子から「いちご状血管腫」とも呼ばれます。

 1歳ごろまで膨らみを増しますが、1~2歳を過ぎるとしぼみ始め、就学年齢までには赤みや膨らみは消えることが一般的です。

 小さく平たんなものの多くは治療をしなくても、ほとんど外観(見た目)や機能に問題を生じることはありません。しかし、小さくとも膨らみが大きいものや、顔面や手足の目立つ部位のものは、しぼむと皮膚のしわやたるみが外観に影響を及ぼすことがあります。

 脇や陰部では、こすれて傷や出血が生じる例もあります。巨大だったり多発したりする場合、体内に血管腫がある可能性があり早期の検査や治療が必要です。

 主な治療法は二つあり、一つは内服治療です。β(ベータ)遮断薬という降圧薬の成分が含まれるため、1週間ほど入院し小児科医の診察を受けながら開始し、半年から1年ほど継続します。二つ目はレーザー治療で、乳児血管腫を早くしぼませることができます。

レーザーで薄く

 「単純性血管腫」は、生まれた直後から赤い面状のあざが見られ、自然に消えることはありません。年齢とともにゆっくりと色が濃くなり、成人期にはあざが盛り上がってくることが多いため、乳幼児期にレーザー治療によって色を薄くすることが一般的です。

 例外もあり、前額部(おでこ)やまぶた、鼻の下にできる「サーモンパッチ」や、うなじにできる「ウンナ母斑」は、就学前までに消えることが多いです。

 当院の血管腫専門外来では、小児科と連携した内服薬の導入やレーザー治療、しぼんだ後の形態修正手術を行っています。成人の方の治療の相談も承ります。気になる「赤いあざ」、ぜひ一度ご相談下さい。

河北新報掲載:2026年2月13日

玉懸(髙村) 美菜実

宮城県出身。2016年弘前大学医学部卒業。2018年東北大学病院形成外科入局。大崎市民病院、宮城県立こども病院などを経て2023年東北大学大学院医学系研究科形成外科学分野に入学。難治性脈管奇形・血管腫の診療および、杏林大学形成外科、東北大学遺伝科との共同研究を行っている。