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AIが変える未来型緑内障健診

中澤徹(東北大学大学院医学系研究科眼科学分野 教授)

東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の中澤徹教授は、「AIを活用した緑内障の早期発見」に関する研究に取り組んでいます。
緑内障は日本における失明原因の第一位である一方、自覚症状が乏しく、気づいたときには進行しているケースが少なくありません。そのため、症状が現れてからの治療ではなく、日常生活の中で早期に異常を検出する仕組みの構築が求められています。本研究では、AI技術を活用し、こうした課題の解決を目指しています。
本研究の特徴は主に3点あります。
第一に、「ブラックボックス問題の解消」です。従来のAIでは診断結果に至る過程が不透明であることが課題でしたが、本研究では診断結果とともに根拠となる数値情報を提示するアルゴリズムを開発し、判断の透明性と信頼性の向上を実現しました。
第二に、「複数モデルによる高精度化」です。緑内障の早期発見は専門医でも難しいとされていますが、本研究では複数のAIモデルを同時に稼働させることで、専門医の思考プロセスを模倣し、早期段階での検出精度の向上を図っています。
第三に、「軽量(ライト)モデルの開発」です。従来のAIは大きなコンピューターを必要とする点が課題でしたが、本研究では不要な処理を削減することで軽量化を実現しました。これにより、スマートフォンなどでも活用可能なモデルの開発に成功し、独自の特許取得にもつながっています。
今後は、本技術をさらに高度化し、安価な機器でも高精度な検査が可能な環境の構築を目指します。また、利用者が主体的に医療に関わりながら健康行動を促進できるプラットフォームの展開を通じて、将来の視力維持と新しい診療の形の実現を目指していきます。

中澤 徹(なかざわ とおる)

1995年東北大学医学部卒業。2002年博士(医学)を取得。米国マサチューセッツ眼耳病院リサーチレジデントなどを経て、2011年より東北大学大学院医学系研究科 神経・感覚器病態学講座眼科学分野主任教授。専門は眼科学(緑内障)、神経科学。

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