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東北大学医療系メディア「ライフ」マガジン

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〔いのち)の可能性をみつめる

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ブックレビュー『Read the Sea 個人書店が選ぶ、いま読んでほしい海の本』

みなとラボ 編
みなとラボ出版、2024

全国各地の個人書店が「海」をテーマに選書する企画「Read the Sea」(みなとラボwebサイト)から生まれた本。全国37の個人書店から選ばれた148冊(一部重複あり)が、店主それぞれの感性や経験をもとにセレクト・紹介されている。選書の共通テーマは以下の4つで、1書店からテーマごとに1冊ずつ、合計4冊が選書されるというルールになっている。

  • 子どもに読んでもらいたい「海」の本
  • 大人に読んでもらいたい「海」の本
  • 自分にとっての「海」のお気に入りの本
  • 海は出てこないが「海」を感じられる本

このテーマ設定もさることながら、小説、エッセイ、絵本、写真集など多岐にわたるジャンルの本がずらりと並んでいて、「海」というものの懐の広さ・深さを、「本」というメディアをとおして追体験できる一冊となっているのが面白い。特に、「海は出てこないが「海」を感じられる本」というテーマでは、各店主が想像力を総動員して選んだ渾身の1冊が並び、「生命の源」である海は、「想像力の源」でもあると言っているかのように、こちらの想像力も掻き立ててくれる。また同様に、長野県と群馬県の本屋店主の対談「海なし県の本屋」も興味深い。海のない本屋の店主たちも想像力を稼働させながら、「本」が持つ懐の広さ・深さに「海」を重ねているようだ。

今回の特集テーマ「水」では、海を専門とする2人の方々にご登場いただいた(教育学者・3710Lab代表理事・東京大学大学院特任講師の田口康大さんWPI-AIMEC所長・東北大学大学院理学研究科教授の須賀利雄さん)。お二人とも、「海はまだまだ知られていない存在」と言っていたのが印象的であった。その意味で、この本は「海を知る」ための格好の本でもあり、海に思いを馳せる人々の「想像力」の成果であることはいうまでもないだろう。

Text アイハラケンジ
Photo 三浦晴子

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