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特集:水
飲んで排泄する、だけではない。呼吸するたび私たちは空気中の水分を吸い込み吐き出してもいる。温かい私たちは皮膚の表面から水分を発してもいる。心が動けば瞼から滴も落ちる。身体の半分以上が水である私たちは水の代謝で生きている。
私たちの身体から出て、向かう先は浄化施設だろうか。空だろうか。キレイになって都市を回るだろうか。雲となり雨となって山に降るだろうか。川となり、ダムへ行き着くだろうか。やがて海に注ぎ、そして蒸発し、ふたたび雲となるだろうか。姿かたちを変えながら水はとめどなく移りゆく。
私たちも、動植物も、海の生き物たちも、水を求め、取り入れ、巡らせ、吐いて生きる。水は〈いのち〉の環境で、水は〈いのち〉そのもの。個体を、種を、陸を、空を、海を、あらゆる境界を超えて移ろいゆく水は、遥か太古よりずっとこの星の〈いのち〉を巡りつづけている。