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〔いのち)の可能性をみつめる

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心不全

安田聡(東北大学病院 循環器内科 科長)

息切れ・むくみはSOS

ポンプ機能低下

 「最近、階段で息が切れる」「足がむくんで靴がきつい」。これらは単なる加齢や疲れではなく、心臓が悲鳴を上げているサイン、心不全の初期症状かもしれません。日本人の死亡原因第2位の心疾患の中でも、心不全は特に患者数が増加しています。

 心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。あらゆる心臓病の終着駅とも言われます。

 (1)息切れ・動悸(2)むくみ(3)体重の急増(4)横になると苦しい-。こんな症状に心当たりはありませんか?

 これらは心臓の中で血液が渋滞し、肺や足に水分が漏れ出していることに関連したものです。「年だから」と見過ごされがちですが、早期発見がその後の生活を左右します。

 「心不全かもしれない」と思った時、客観的な指標となるのが血液検査で分かる「脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)」という数値です。心臓が負担を感じた時に分泌されるホルモンで、いわば「心臓の疲れ具合」を測る目盛りです。

 一般的に、BNP値が35を超えると心不全の予備軍として注意が必要になります。数値が100を超えている場合は、たとえ自覚症状がなくても心不全の可能性が高いため、心エコー検査など循環器専門医による精密検査を受けることを勧めます。

 東北大学病院では、1万人・10年にわたって蓄積されたデータ(CHART研究)を活用した診療を行っていますので、ぜひご相談ください。

生活習慣で予防

 心不全のリスクを高めるのは、高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病です。これらは長年かけて心臓に負担をかけ続け、徐々に機能をむしばみます。予防と進行防止のためには「徹底した塩分管理」「毎朝の体重測定」「適度な運動」の習慣が不可欠です。

 塩分は1日6グラム未満を目指しましょう。塩分を控えることは、心臓のポンプ作業を楽にします。体重測定は、むくみ(水分貯留)を早期に発見する最も確実な方法です。「ややきつい」と感じる程度のウオーキングは、血管を広げ、心臓の助けとなります。

 心不全は早期に発見し、適切に管理することが重要な病気です。BNPなどの数値と自身の症状に目を向けて、大切な心臓を守りましょう。

河北新報掲載:2026年3月13日

安田 聡
(やすだ さとし)

福島県出身。1987年東北大学医学部卒業。米カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部研究員、東北大学大学院医学系研究科循環器内科学准教授、国立循環器病研究センター副院長などを経て、2020年より東北大学医学系研究科循環器内科学分野教授・東北大学病院循環器内科科長に就任。

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