生きている輝きをもとめて
熊谷和徳
2026.5.20 Wed
数日前ニューヨークにて49歳の誕生日を迎えました。長年過ごしたアパートから引っ越すことになり、19歳の時にはじめてニューヨークに飛び立った時の記憶がよみがえり、感傷的な気持ちになりました。当時は、ネットも携帯もなく、とにかく日々必死でした。でもその大変だった経験は自分自身が生きている実感という贈り物だったと今思い出します。
子どもの頃、喘息を患っていたので、発作で病院に担ぎ込まれることがよくありました。ある夜、親におんぶをしてもらい病院に行く途中、呼吸に苦しみながらも、ふと見上げた空に見えた星がとても美しく輝いていたことをたまに思い出します。大げさに言えば、その光は暗闇の中でしか見ることができなかった生命の輝きであり、自分の創作の原点の輝きのように思えるのです。
僕自身も含め、人は完璧な身体や恵まれた環境に憧れ求めていくものだと思います。同時に人は不完全だからこそ、その瞬間にしか見えないこと感じられないことがあり、人から与えられた優しさを、本当の意味で身体全体で感じられるのかもしれません。僕は、あの『光』を求め旅を続けて、しっかりと大地を踏みしめていたいです。

熊谷和徳
タップダンサー。仙台市出身。2016年米ダンス界最高峰「BESSIE AWARD」をアジア人として初受賞。東京2020オリンピック開会式において出演、振付、作曲を行なった。
※東北大学病院広報誌「hesso」55号(2026年4月30日発行)より転載
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- 東北大学病院広報誌「hesso(へっそ)」