
「感染予防で救える命がある」 現場で改善積み重ねる認定看護師
遠藤春樹(東北大学病院 感染管理室 副看護師長)
2026.1.7 Wed
これまでの経歴と現在の仕事内容を教えてください。
2007年に看護師資格を取得し20年近くたちましたが、キャリアの半分以上はICUで働いてきました。集中治療の現場で学んだことは本当に多く、そこで得た経験が今の自分の軸になっていると感じます。
2022年に感染管理特定認定看護師となり、現在は感染管理室で専従として院内の感染制御に関わっており、常に臨床の立場に立った感染対策を実施したり提案したりできるよう努めています。最近は院内だけではなく、行政や他病院、検疫所などと連携して地域全体の感染対策にも携わっています。現場とつながり続けながら、より良い感染制御の環境づくりに取り組んでいます。
何がきっかけで感染の分野に興味を持ち、認定看護師の資格取得に至ったのでしょうか。
大学生の時にMDRP(多剤耐性緑膿菌)に関する基礎研究に触れたことが、最初のきっかけでした。ICUで臨床経験を重ねる中で、感染症の合併によって状態が悪化する患者さんを多く見てきたことから、「感染予防で救える命がある」という思いが強くなりました。ですが、現場では感染対策の難しさを痛感する場面も多く、より体系的に学びたいと考えて感染管理認定看護師研修を受講しました。2020年から開始されたB課程(認定看護師研修と特定行為研修を同時受講できるカリキュラム)を受けることで臨床判断力や実践の幅も広がり、より患者さんの回復に寄与できるのではないかと思ったことも大きな理由です。
東北大学病院への入職を決めた理由は。
大学卒業後は地元の福島県で看護師として働き始めましたが、1年目は環境にうまくなじめず、改めて自分が学びたい医療のあり方について考えるきっかけになりました。学生時代を仙台で過ごし、実習で東北大学病院の雰囲気に触れていたことで、「ここなら急性期医療をしっかり学べる」と感じ、入職を決めました。幅広い症例に触れられることはもちろん、学び続けられる環境が整っている点にも魅力を感じました。実際に働いてみても、研修や挑戦の機会が多く、成長を応援してもらえる職場だと実感しています。

感染管理の仕事において、達成感ややりがいを感じるのはどんな時ですか。
感染管理の仕事は結果が見えにくい部分もありますが、患者さんや職員の安心につながる大切な役割だと感じています。現場のスタッフと一緒に考え、少しずつ改善していけた時の達成感が大きな励みです。
印象に残っているのは、ICUでPICC(末梢留置型中心静脈カテーテル)の消毒方法を統一する取り組みを支援したことです。ICUスタッフと検討を重ねた結果、カテーテル関連血流感染の減少につながり、チームで進める感染対策の力を改めて実感しました。現場の声に耳を傾けながら、臨床で実践可能な感染対策を提案し、スタッフと共に改善していく過程にやりがいを感じています。小さな一歩が積み重なっていくことが、この仕事の面白さだと思います。
これからどんなことに取り組んでいきたいですか?
感染対策が個人のスキルに左右されないよう、誰もが実践しやすい標準化を少しずつ後押ししていきたいと考えています。例えば、陰部清拭ワイプの導入によって手技を統一するなど、現場の負担を減らしながら質を保つ取り組みを広げていきたいです。感染管理は一人ではできないので、多職種と連携しながら、みんなでより良い環境をつくっていけるよう動いていきたいです。
趣味や休日のリフレッシュ方法をお聞かせください。
趣味はフットサルで、20代の頃から月に1回ほど病院の看護師仲間と集まって体を動かしていました。コロナ禍や認定看護師の研修などで活動休止となっていましたが、最近は医師のチームに交ぜてもらい、またフットサルをプレーできるようになりました。
それ以外では、週末に料理をしたり、子どもと一緒にクレーンゲームに行ったりする時間が好きです。何気ない過ごし方ですが、仕事との切り替えにもなり、良いリフレッシュになっていると感じます。

遠藤 春樹(えんどう はるき)
福島県出身。感染管理室 副看護師長。大学卒業後、福島県で看護師として勤務。2008年より東北大学病院に勤務。2022年に感染管理特定認定看護師資格取得。