子どもの低身長が気になる?
菅野潤子(東北大学病院 小児科 講師)
2026.6.19 Fri
原因多様 早期の受診を
低身長に気付く機会は、健診のほか、学校の身体測定、たまたま風邪で受診した小児科での指摘などさまざまです。きょうだいがいる場合、上の子の同時期と比べて小さいことで気付くこともあります。当院の小児科の内分泌部門には、毎週、低身長を主な受診理由とした子どもが新規に来院します。かかりつけ医からの紹介のほか、直接来院するケースもあります。
一部は治療対象
低身長には定義があり、同年齢の平均身長からどのくらい離れているかを示す「標準偏差(SD)」で判断し、マイナス2SD以下だと低身長になります。ほかに、100人中、小さい方から何番目かを示す「パーセンタイル」という基準があり、3パーセンタイル以下が該当します。
こうした子どもは人口の2%強に当たり、約40人のクラスで考えると、1人が低身長ということになります。低身長の子どものうち、治療の対象となるのは一部です。
当科では、問診や診察のほか、血液検査や尿検査、骨のエックス線検査などを行います。成長ホルモン分泌不全性低身長症(成長ホルモンの不足による低身長)が疑われる場合は、成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)という検査を行います。
成長ホルモン治療は、成長ホルモン分泌不全性低身長症はもちろん、出生時に妊娠週数に比べて体格が小さく、その後も追い付けないSGA性低身長症、ターナー症候群、プラダーウィリ症候群、軟骨無形成症などが対象となります。治療は自己注射のため病院で指導した後、家庭で家族が注射します。使いやすい注射器具で誰でも簡単に使用できます。
甲状腺機能低下症や卵巣機能不全なども低身長の原因になります。甲状腺機能低下症は、むくみや疲れやすさ、低体温などで気付くことがあります。卵巣機能不全は、乳房の発育が起こらない、月経が来ない場合などが発見の機会です。いずれもホルモン補充療法の対象となります。
基礎疾患発見も
成長ホルモン分泌不全も、それ以外のホルモンの分泌不全も、脳腫瘍などの基礎疾患があることがあります。脳腫瘍は、低身長のほか、身長の伸びの停滞、頭痛や嘔吐(おうと)、視力障害など、他の症状も認められる場合に強く疑われ、低身長以外の症状がない段階で発見されることもあります。
一方、家族性低身長や体質的な思春期の遅れなど、治療の必要がない低身長の患者が数多くいます。低身長の原因は、さまざまな疾患によって起きるものから生理的なものまで多様です。治療開始の遅れは取り戻すことができないので、早期の診断・治療が重要です。
河北新報掲載:2023年5月26日
菅野 潤子
(かんの じゅんこ)
宮城県出身。1993年岩手医科大学医学部卒業。2007年、東北大学大学院医学系研究科修了。2015年から東北大学小児科講師。専門は、小児内分泌学、糖尿病学、臨床遺伝学。