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〔いのち)の可能性をみつめる

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子どもの便が硬い、おなかが張る

遠藤悠紀(総合外科 小児外科グループ 助教)

疾患由来の便秘、注意を

重症化する例も

 小児科や小児外科において小さい子どもの相談で非常に多いのが便秘です。一般的に便秘とは排便の回数が週2回以下か、便が硬く出にくい状態を指します。

 多くは水分不足や、離乳食、トイレトレーニングの開始、生活環境の変化などがきっかけで起こる「機能性便秘」です。これらは生活習慣の改善や食事療法、整腸剤や下剤の内服、浣腸(かんちょう)などで多くが改善します。

 一方で、基礎疾患によって生じる「器質性便秘」は注意が必要です。代表的疾患の一つに「ヒルシュスプルング病」があります。

 腸は、自分の意志とは関係なく蠕動(ぜんどう)運動し便を運びます。この動きを調整しているのが腸の壁の中にある神経節細胞です。ヒルシュスプルング病では、肛門に近い結腸の神経節細胞が生まれつき欠如し、その部分の腸管は動かずに常に縮まった状態になります。すると、その先に便やガスが進めず、ひどい便秘やおなかの張りを引き起こします。

 重症化すると嘔吐(おうと)や腹痛を繰り返したり、重症の腸炎や腸に穴が開く消化管穿孔(せんこう)に至ったりするケースもあります。神経節細胞のない部分の長さによって病型がいくつかあり、約80%は直腸からS状結腸までの範囲の長さにとどまります。

治療 基本は手術

 ヒルシュスプルング病を診断するためには、三つの検査を行います。(1)肛門から造影剤を注入して腸の形や広がりを見る「注腸造影」(2)直腸の反射の動きが正常か確認する「直腸肛門内圧測定」(3)直腸の粘膜を一部採取し、病気特有の異常な神経がないか調べる「直腸粘膜生検」-です。

 治療は手術が基本です。神経節細胞のない部分を切除し、正常な腸管を肛門とつなぎ合わせます。以前は開腹が必要な手術でしたが、現在はおなかに傷を付けずに、肛門側から手術する「経肛門的根治術」が普及しています。

 ただし、神経節細胞のない部分が長い病型では腹腔(ふくくう)鏡手術や開腹手術を併用し、最重症例では小腸移植を含めた包括的な治療が必要になることがあります。

 便秘やおなかの張りは、小さい子どもによく見られる症状ですが、母乳やミルクの飲みが悪い、頻回に吐く、体重が増えないといった場合は、ヒルシュスプルング病のような病気が隠れている可能性もあります。「たかが便秘」と思わずにご相談ください。

河北新報掲載:2026年4月10日

遠藤 悠紀
(えんどう ゆうき)

宮城県出身。2011年兵庫医科大学卒業。2021年東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。宮城県立こども病院外科、いわき市医療センター小児外科勤務を経て、2025年より現職。

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