痛みと薬
山内正憲(東北大学病院 麻酔科 科長)
2026.7.24 Fri
症状別に効果的な鎮痛を
炎症を抑える薬
麻酔科は痛みを取り除くことを専門の一つとしています。全身麻酔は意識も取り除くので、痛みと不安を減らすことができます。手術後は会話や食事ができるように、なるべく意識に影響させず痛みだけを取り除くことを目標としています。通院中の患者には日常生活への影響が小さい鎮痛方法を提案します。
今回は痛みのタイプに応じて、ペインクリニック外来で使っている鎮痛薬を説明します(さまざまな会社が製造・販売しているので一般名で記載します)。
第1に、傷や打撲など鋭い痛みや腫れを伴う場合。NSAIDs(エヌセイズ)と言われる薬は最も一般的に使われている痛み止めで、湿布、飲み薬、座薬などの主成分です。炎症を抑えるので腫れが収まり、発熱にも効果的です。アセトアミノフェンは市販の風邪薬に含まれている成分で、副作用が小さいため小児や妊婦の鎮痛や解熱にも使われます。どちらも薬局で購入できます。
第2に、神経痛や古い傷が痛む場合。専門的には神経障害性痛という病態が多いです。症状は皮膚に触れただけで痛みや不快感を生じたり、電気が走るような痛みやしびれと表現したりすることが多く、帯状疱疹(ほうしん)や手術では患部に、椎間板ヘルニアでは下肢に生じます。ミロガバリンやプレガバリンという傷ついた神経を鎮める薬が広く使われています。抗うつ薬、抗てんかん薬、ワクシニアウイルス接種家兎(かと)炎症皮膚抽出液という薬も神経を鎮め、ミクロな炎症に効果的です。
副作用も考える
第3に、不安やストレスが大きい痛みの場合です。痛みの感受性が高まることで、普段は耐えられる痛みを強く感じることもあります。第1、第2の薬に加えて神経を鎮める薬を使いますが、副作用として眠気を伴うことが多いです。
第4に血流障害や冷えなどを伴う場合。痛みの原因にかかわらず体調や症状に合う漢方薬も効果的です。
第5は、特に強い痛みの場合です。原因が第1や第2、またはがんなどで組織や神経に強い刺激が続くときに「麻薬」を処方します。副作用も強いので効果を慎重に見極めています。
さまざまな痛みに対し神経ブロックが効果的な場合も多く、外来で対応できます。薬には副作用もあるので、医師や薬剤師の説明を確認して使用しましょう。
河北新報掲載:2026年5月22日
山内 正憲
(やまうち まさのり)
札幌市出身。1991年札幌医科大学卒業。2013年から東北大学麻酔科教授として、麻酔・集中治療をはじめとする周術期管理とペインクリニックで臨床・教育・研究を推進している。