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〔いのち)の可能性をみつめる

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季節と糖尿病

金子慶三(東北大学病院 糖尿病代謝・内分泌内科 講師)

食事管理と運動で予防

実りの秋を迎え、新米や果物など一年の中でも食事が楽しみな季節となりました。果物にはビタミンやミネラルが多く含まれるため健康的なイメージがあります。調理せず手軽に食べることができ、野菜代わりに摂取されることも少なくありません。実際に果物は食物繊維が豊富で、糖を多く含んだ食品の中では比較的血糖を上昇させにくく、適度に摂取すれば健康にも良いと言われています。

食べ過ぎに注意

しかし近年は品種改良などで昔に比べると果物の糖度が増しており、食欲の秋だからといって、知らず知らずのうちに食べ過ぎると血糖が上昇しやすくなるので注意が必要です。日本糖尿病学会では果物は1日当たり約80キロカロリーの摂取を推奨しています。

冬はどうでしょうか。糖尿病患者を対象とした研究では、冬に糖尿病が悪くなりやすくなることが分かっています。はっきりした理由は不明ですが、忘年会や正月などで食事量が増えたり、寒くなって活動量が減ったりするためと考えられています。

冬には高血圧や脂質異常症などが悪化することも知られており、これらが重なると動脈硬化が進行する可能性があります。寒くておっくうではありますが、できる範囲で体を動かすことが大切です。

糖尿病は夏にも注意が必要です。気温が30度近くになると脱水を伴う高血糖緊急症で入院する患者さんが増えるという報告があります。糖尿病の進行に伴う自律神経障害により体温調節が難しくなったり、暑さで食事内容や運動量が変わったりすることが要因として考えられます。

血糖、急激に上昇

近年の猛暑で、熱中症予防のため、こまめな水分摂取が呼びかけられていますが、糖入りの清涼飲料水(ソフトドリンク)で水分補給を行うと、液体であるがゆえに体内に吸収されやすく血糖が急激に上がります。ソフトドリンクの過剰摂取は血糖のみならず、ケトン体と呼ばれる脂肪由来の酸性代謝物を異常に増加させ、口渇感(喉の渇き)や多尿、体重減少を招き、昏睡(こんすい)状態に陥ることもあります。

これは「ソフトドリンクケトーシス」、俗に「ペットボトル症候群」と呼ばれています。普段の健診で一見問題のない人でも体質によっては発症し、これを機に糖尿病が見つかる場合もあります。熱中症予防には水分や電解質のほか、糖も必要ですが、取り過ぎに注意してください。

適切な暑さ対策をしているつもりでも、口渇感が治まらず体重が減ってくるようなときはソフトドリンクケトーシスも疑われますので、医療機関に相談しましょう。

季節ごとの特徴を意識することで、より上手に糖尿病と付き合えると思います。

河北新報掲載:2023年11月24日
一部改訂:2026年10月9日

金子 慶三
(かねこ けいぞう)

兵庫県出身。東北大学医学部卒業。東北大学大学院医学系研究科修了後、東北大学国際高等融合領域研究所助教、フランス国立保健医学研究所ポスドク研究員などを経て、2024年から東北大学医学系研究科糖尿病代謝・内分泌内科学分野講師。専門は糖尿病や肥満症、代謝性疾患。

粘り強い探究に臨床の視点も生かし、難病治療の未来を切り開く

治らない口内炎…口腔がんの恐れ

整形外科領域における骨補填材の適用

焦らず確実に、かつ効率的に 病理診断支える標本作りを追求

研究と医療の架け橋となり、新たな医療技術の実用化に伴走する

伊藤亜紗・愼 允翼
往復書簡(2)