分子レベルでのカロリー制限の効果
生島 芳子(SiRIUS (医学イノベーション研究所)講師)
2026.10.22 Thu
東北大学SiRIUSの生島芳子講師は、骨の中にある脂肪「骨髄脂肪」を中心に、脂肪が体の中で果たす役割を研究しています。脂肪はエネルギーを蓄えるだけでなく、さまざまなホルモンを分泌しており、その一つが、血糖値や脂質の代謝を調節する「アディポネクチン」です。
一般的に、アディポネクチンは血糖値を下げるインスリンの作用を助ける働きがあるホルモンとして知られています。しかし、摂取カロリーを通常より30%減らした条件で飼育した場合には、アディポネクチンを作れないマウスでは、アディポネクチンを作れるマウスよりも空腹時や糖負荷後の血糖値が低くなることが分かりました。また、肝臓でアディポネクチンの影響を受ける遺伝子は食事条件によって異なり、さらに、血液中の中性脂肪の処理にアディポネクチンが及ぼす影響には、雄と雌で違いが見られました。
これらの結果は、アディポネクチンの作用が、栄養状態や性別によって変わる可能性を示しています。生島講師は、その仕組みを明らかにすることで、脂肪やホルモンが体の代謝を調節する仕組みへの理解を深めようとしています。
生島 芳子(いくしま よしこ)
東京大学医学部医学科卒業後、慶應義塾大学大学院医学研究科で博士 (医学) を取得。慶應義塾大学、国立国際医療研究センター研究所、英国のEdinburgh大学で血液学・代謝学研究を進め、2025年4月より、東北大学SiRIUS (医学イノベーション研究所)で講師として勤務している。