そのいびき大丈夫?
小川徹(東北大学病院 総合歯科診療部 部長)
2026.10.16 Fri
無呼吸症のサインかも
放置が悪影響も
「いびきがうるさいと言われる」「寝ている間に呼吸が止まっていると家族に指摘された」「日中に強い眠気がある」。このような症状は、睡眠時無呼吸症のサインかもしれません。
睡眠時無呼吸症は睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。特に、空気の通り道である上気道がふさがることで起こる「閉塞(へいそく)性睡眠時無呼吸」が最も多くみられます。十分な睡眠時間を取っていても睡眠の質が低下するため、日中の眠気や集中力の低下、起床時の頭痛などを生じることがあります。
高血圧や糖尿病、不整脈、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病や心血管疾患との関連も知られ、放置すると健康に影響を及ぼします。交通事故の危険性が大幅に高まることも報告されており、「単なるいびき」と軽く考えていると思わぬ重大な病気や事故につながる可能性があります。小児なら成長や発達に加え、集中力の低下や学習面に影響を及ぼすこともあります。
診断には、まず医科医療機関で睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行います。自宅でできる簡易検査のほか、必要に応じて専門施設に1泊して行う精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査、PSG)があります。
実に取り除くことに加え、術後の排便、排尿、性機能への影響も考える必要があります。
治療は症状別に
治療法は症状や重症度に応じて選択されます。中等症から重症では、就寝時に鼻から空気を送り込むCPAP(シーパップ)療法が標準的です。一方、軽症から中等症では、就寝時に装着するマウスピース(口腔(こうくう)内装置)が有効な場合があります。この装置は下顎を少し前に出すことで空気の通り道を広げ、無呼吸を改善します。睡眠時無呼吸症と診断され、医科医療機関から紹介を受けた患者は、歯科で口腔内装置を作製することができます。東北大病院は睡眠・呼吸を専門とする医師と歯科医師が連携し、CPAP療法や口腔内装置、それらを組み合わせた併用療法を含め、患者の病態や生活環境に応じた治療を行っています。
いびきや日中の眠気を「体質だから」「たかが、いびき」と軽く考えている方は少なくありません。しかし、その背景に睡眠時無呼吸症が隠れていることがあります。睡眠中の歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)も放置すると歯や顎に大きな負担を与えることがあります。気になることがあれば、一人で悩まず早めに医療機関へ相談してください。
河北新報掲載:2026年8月28日
小川 徹
(おがわ とおる)
千葉県出身。1999年東北大学歯学部卒業。2003年東北大学大学院歯学研究科修了。同年、東北大学歯学部附属病院助教、ルーベンカソリック大学、シドニー大学に留学。講師、准教授を経て、2024年に東北大学病院総合歯科診療部 教授に就任。専門は総合歯科学、歯科補綴学、睡眠歯科学など。