前立腺がん検診を受けよう
伊藤明宏(東北大学病院 泌尿器科 科長)
2026.8.28 Fri
血液検査で早期発見を
前立腺は男性だけにある臓器で、男性ホルモンによって増殖、成長します。栗の実のような形や大きさで、膀胱(ぼうこう)のすぐ下に位置し、尿道を取り囲んでいます。前立腺液という精液の一部を作る働きがあります。
前立腺で見られる主な病気には、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がんなどがあります。
前立腺肥大症は、前立腺組織が大きくなって尿の通り道が狭くなり、オシッコが出にくくなる、勢いが弱くなる、排尿後にスッキリしない、といった症状が出てきますが、良性の病気です。飲み薬でだいぶ症状をコントロールできますが、手術が必要な人もいます。
前立腺炎は細菌感染により前立腺に炎症を起こす病気です。排尿痛や排尿困難、発熱、会陰部(陰嚢(いんのう)と肛門の間)痛や陰茎痛などを生じ、抗菌薬で治療できます。
PSA値に注意
前立腺がんは、高齢になるほど多く見られます。初期には無症状であり、多くの場合、病気の進行はゆっくりです。進行した場合にはリンパ節や骨に転移することがあります。早い段階で病気を見つけられれば治癒することが可能で、PSA検査という血液検査で早期発見ができます。
PSAは前立腺液に含まれる糖タンパクで、多くは精液中に分泌されますが一部は血液検査でも検出されます。血液検査でPSA値の上昇が見られたときには、前立腺の病気(前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がん)が考えられます。
PSA値が基準値(血液1ミリリットル当たり4ナノグラム)以上になった場合には、泌尿器科専門医を受診して前立腺の診察を受け、精密検査(MRI検査や組織検査)が必要かどうかを判断します。前立腺がん検診ではPSA検査が行われますが、住民検診では50歳以上が対象です。
50歳からお勧め
組織検査で前立腺がんと診断されたら、病気の広がり具合を調べる検査を行いますが、多くの場合は早期がんと診断されます。早期がんの治療としては、手術で前立腺を摘出、前立腺への放射線治療、注射や飲み薬による内分泌療法などがあります。個々の患者さんの状態、年齢、生活スタイルなどに合わせて最適な治療法を選択します。
前立腺がんの状態によっては、寿命に影響しないと考えられるがんもあります。そのようなケースでは積極的な治療を行わずに、定期的なPSA検査や各種検査でがんが進行していないことを確認していくPSA監視療法が行われます。
前立腺がんは早期発見が大切ですので、50歳になったら前立腺がん検診を受けることをお勧めします。
河北新報掲載:2023年9月22日
伊藤 明宏
(いとう あきひろ)
宮城県出身。1990年東北大学医学部卒業。2018年4月東北大学病院泌尿器科長に就任。同年12月より東北大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野教授