TOHOKU MEDICINE LIFE MAGAZINE

東北大学医療系メディア「ライフ」マガジン

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〔いのち)の可能性をみつめる

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てんかんの「見えにくい」悩み

小川舞美(東北大学病院 てんかん科 助教)

困り事を整理し備える

人と比較できず

てんかんは、約100人に1人に見られる脳の病気です。てんかん発作には、意識を失って倒れる発作だけでなく、ぼんやりして呼びかけへの反応が乏しくなる、体の一部が勝手に動く、見え方や感じ方が一時的に変化するなど、さまざまな症状があります。発作が起きたときは、周囲の人がまず危険なものを遠ざけ、安全を確保して見守ることが大切です。

てんかんのある方は、発作が落ち着いていても「いつまた発作が起きるのだろう」「周囲からどう思われているのか」「学校や仕事に影響しないだろうか」と不安を抱えていることがあります。薬による眠気や倦怠(けんたい)感、記憶や集中力への影響などが気になる方もいます。こうした悩みは、内容も程度も一人一人異なります。発作の症状や治療による影響、生活上の困り事も多様で、他の人と単純に比べることはできません。

例えば、発作への不安から外出や人付き合いを避けるようになった、発作や薬の影響で学校や仕事に支障がある、病気を周囲にどう伝えればよいか分からないといった心配事があれば、発作の有無にかかわらず医療者に相談してください。

「こんなことを相談してよいのだろうか」と思うことでも、医療者と一緒に症状や困り事を整理することで自分に合った工夫や支援を見つけられることがあります。心理職も病気をどのように受け止めるか、病名を周囲にどう伝えるか、服薬などの自己管理をどう工夫するかを一緒に考え、必要に応じて多職種や支援機関につなぎます。

周囲も対応共有

家族や友人、学校や職場など周囲の方にもできることがあります。てんかんのある方から病気や症状を打ち明けられたら、まず本人の話を聞き、どのような症状が起こるのか、発作が起きた時にどう対応してほしいか、普段の生活でどんな配慮があると安心できるかを確認してみてください。

誰に、どこまで病気を伝えるかは本人が決めてよいことですが、あらかじめ必要な人と対応を共有しておくことで、本人も周囲も安心できます。発作がない時にも、本人が安心して過ごせる環境を一緒につくることが大切です。

てんかん発作のない時間を含め、本人が困っていることを周囲や医療者と一緒に考え、備えていくことが、その人らしい生活の大きな一歩になります。

河北新報掲載:2026年9月11日

小川 舞美
(おがわ まいみ)

宮城県出身。2017年東北大学大学院教育学研究科臨床心理学分野修了後、東北大学病院てんかん科心理職として臨床・研究に従事。2019年東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野に進学し、2022年同修了、博士 (医学)。同年より東北大学大学院医学系研究科てんかんスマート医療共同研究講座助教。専門は臨床心理学。セルフスティグマや心理社会的支援を中心に、てんかんとともに生きる人々の生活の質や社会適応に関する研究に取り組んでいる。

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