TOHOKU MEDICINE LIFE MAGAZINE

東北大学医療系メディア「ライフ」マガジン

TOHOKU UNIVERSITY SCHOOL of MEDICINE + HOSPITAL

〔いのち)の可能性をみつめる

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〔いのち)の可能性をみつめる

三角巾とウォークマン

松木彩

入院生活が、私の原体験です。三歳のころ、ソファから落ちて右腕を骨折。入院したとたん謎の高熱も発症し、退院まで一ヶ月もかかってしまいました。
 骨折した右腕は固定され、左手には点滴。両腕を封じられた一ヶ月。両親からプレゼントされたのが「ウォークマン」と、たくさんの「おはなし」が入ったカセットテープでした。
 いろとりどりの物語が入ったカセットテープを繰り返し聞いて過ごした日々。声で紡がれる物語は私にいろいろな世界を想像させました。
 正直、どんなお話があったのか、今となっては一つも思い出せないのですが、病室が怖かったとか、入院が退屈だったという記憶もないのです。楽しい時間だったのだと思います。
 退院直後の旅行で、はしゃいで転んでまた右腕を骨折するという愚行を犯し、当時の私は常に三角巾で利き腕を封じられていました。本を読んだりして過ごすうちに、すっかり内気で妄想癖のある子供ができあがりました。
 あの日々が自分の原点かもなあと、ふと思い出すことがあります。そしてもしあのとき両親がくれたのがキラキラのシールとかだったら、陽気なギャルになっていた世界線もあるのかなと、ときどき妄想してしまうのです。

松木 彩

宮城県仙台市出身。東北大学卒業。ドラマディレクター、映画監督。2011年TBSテレビに入社。主な演出作品は『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』シリーズ、『テセウスの船』、『半沢直樹』、『下町ロケット』、『くるり〜誰が私と恋をした?〜』など。

粘り強い探究に臨床の視点も生かし、難病治療の未来を切り開く

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