瞼が下がる?重い?は要注意!
檜森紀子(東北大学病院 眼科 准教授)
2026.7.10 Fri
全身の病気が原因のことも
肩こりや頭痛も
「最近、瞼(まぶた)が重い」「写真を見ると目が小さくなった気がする」。そんな変化を年齢のせいと思っていませんか。実はそれ、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」という病気の可能性があります。瞼が下がり瞳の一部が隠れてしまう状態を指します。自分で気づく方法として昔の写真と見比べることが有効です。スマートフォンでフラッシュを使い正面から撮影したり、横から光を当てて鏡で観察したりすると、瞼の下がりに気づきやすくなります。
初期症状として目が開きにくい、瞼を指で持ち上げないと見づらい、昔に比べ目が小さく見える、左右の眉毛の高さが違うといった変化が挙げられます。視界が狭くなるだけでなく、無意識に眉を上げて目を開こうとするため、肩こりや頭痛、眼精疲労が強くなることも。原因として多いのは加齢で、瞼の皮膚の緩みや瞼を持ち上げる筋肉が緩んだり外れたりすることが関係しています。ハードコンタクトレンズの長期使用の影響も考えられます。治療の中心は手術で、瞼を持ち上げる機能の回復で視界が改善します。多くの場合は健康保険が適用され、安全性も確立された治療です。
片側多い先天性
一方で、生まれつき起こる「先天性眼瞼下垂」もあります。生まれつき瞼を持ち上げる筋肉やそれを動かす神経の発達が十分でないために、瞼がしっかり上がらない状態です。「片方の目が小さく見える」「いつも眠そうに見える」といった特徴があり、約8割は片側だけに起こります。
多くは手術を急ぐ必要はありません。しかし、瞼が黒目にかかって見えにくくなっている場合、視力の発達が妨げられて弱視や斜視を伴うことがあります。左右の瞼や眉毛の高さが違うと感じた場合には、眼科を一度受診し、定期的に経過を見ることが大切です。
急に瞼が下がってきた場合も注意が必要です。神経まひ(動眼神経まひ、交感神経まひ)や重症筋無力症、脳動脈瘤(りゅう)などの病気が隠れていることがあります。瞼を閉じる筋肉は神経障害や伝達異常でうまく動かなくなります。短期間で進行した場合は早めに受診し、必要に応じて全身検査(MRI、採血など)が重要です。
加齢による眼瞼下垂は50歳以上の約1割に見られ、決して珍しい病気ではありません。日常生活の質にも関わるため、「年のせい」と放置せず、気になればまず眼科の受診が大切です。
河北新報掲載:2026年5月8日
檜森 紀子
(ひもり のりこ)
宮城県出身、2004年秋田大学卒業。2007年東北大学病院眼科入局。2013年 東北大学大学院医学系研究科 修了。同年、東北大学病院助教、2021年東北大学大学院医工学研究科 視覚抗加齢医工学分野准教授。