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声のかすれ、のどの違和感 見逃さないのどからのサイン

大越明(東北大学病院 頭頸部外科 科長)

皆さん、のどの調子はいかがですか。風邪をひくと、のどが痛くなったり、声がかすれたりすることは誰にでもあります。しかし、その症状が何週間も続くようであれば、一度耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

「のど」は医学的には、空気の通り道であり声を出す働きを担う「喉頭(こうとう)」と食べ物や飲み物が通る「咽頭(いんとう)」に分けられます。同じ「のど」ですが、それぞれに異なる病気が起こるため、症状にも特徴があります。

喉頭の病気で最も注意したい症状は「声のかすれ」です。風邪が治っても声のかすれが2〜3週間以上続く場合には、声帯ポリープや声帯結節などの良性疾患だけでなく、喉頭がんが隠れていることがあります。特に長年たばこを吸っている方は注意が必要です。

喉頭がんの多くは声帯に発生するため、比較的早い段階から声のかすれが現れます。喉頭がんは早期発見ができれば、口から専用の器具を用いて行うレーザー手術や放射線治療によって治癒が期待できます。声を残すことができる場合が多く、日常生活への影響も比較的小さく済みます。

一方で、喉頭がんは進行すると空気の通り道が狭くなり、息が苦しくなることがあります。症状によっては、喉頭を摘出する手術(喉頭全摘術)が必要となる場合があります。また、喉頭を温存することを目指して抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療(化学放射線療法)が選択されることもあります。

さて、食べ物や飲み物が通る咽頭にもがんはみられます。咽頭は上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けられ、それぞれ症状や発症原因が異なりますが「飲み込む時の違和感」は注意したい症状です。また首のリンパ節への転移が生じると、痛みのない「首のしこり」を自覚することがあり、これも要注意です。

早期の咽頭がんでは、口から内視鏡や専用の器具を用いて行う手術や、放射線治療によって治癒が期待できます。声や飲み込む力を維持できる場合が多く、日常生活への影響も比較的小さく済みます。

一方で、咽頭がんも進行すると、息が苦しくなり食事がのどを通らなくなることがあります。下咽頭や喉頭をまとめて切除する手術(下咽頭後頭摘出)が必要になる場合もありますし、抗がん剤と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法が選択されることもあります。

さらに病気が進行し、他の臓器への転移が見られる場合には、手術や放射線治療による根治が難しいこともあります。そのような場合でも、近年は免疫療法や分子標的薬など新しい薬による治療が進歩し、患者さん一人ひとりの病状や全身状態に応じた治療を選択できるようになっています。根治が難しい場合でも、がんの進行を抑え、症状を和らげながら生活の質を保ち、より長く過ごせることが期待できるようになっています。

のどのがんの治療では、がんを治すことだけでなく、声や飲み込む機能を保つことが重要です。そのため、治療方針は、がんの進行度や全身状態、ご本人やご家族の希望などを十分に考慮しながら決定されます。当院では耳鼻咽喉科・頭頸部外科を中心に、放射線治療科・放射線診断科、腫瘍内科、形成外科、歯科・口腔外科、リハビリテーション部、看護部など多職種が連携して、患者さんの治療と意思決定を支えています。

のどのがんは、早期に発見できれば負担が少ない治療で治る可能性が高い病気です。「声のかすれ」「のどの違和感」「首のしこり」といった症状があれば、まずはお近くの耳鼻咽喉科にご相談ください。

大越 明
(おおこし あきら)

1979年生まれ。福島市出身。2004年東北大学医学部卒業。2023年より東北大学耳鼻咽喉·頭頸部外科学分野准教授。2026年より東北大学病院頭頸部外科科長。専門は頭頸部がん診療。

※東北大学病院広報誌「hesso」57号(2026年8月31日発行)より転載

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